新潮流

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。

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【新潮流】第97回 体育の日と特異日

◆「私の名前は、1964年東京オリンピックの開会式を見に行った父が聖火にちなんでつけてくれた」と橋下聖子・日本スケート連盟会長は述べている。今日、10月10日は、かつて「体育の日」であった。1964年の東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を、1966年から国民の祝日とした。2000年からは「ハッピーマンデー制度」の適用により、10月の第2月曜日となっている。

◆10月10日が東京の晴れの特異日であったことから、オリンピック開会式の日に選ばれたと一般に言われているが、統計的に見ると10月10日が特に晴れるとは言えないそうである。昨年の「体育の日」は10月14日だったが、その日は「ある人物」の生誕50周年を祝うパーティーが催された。抜けるような秋晴れのもと屋外のガーデンも使って盛況だった記憶が鮮明に残っている。どうして天気までよく覚えているかというと、その翌日が台風で大荒れの天候だったからだ。その「人物」のもって生まれた強運のせいか、あるいは「体育の日」が晴れの特異日だからか、などと漠然と思ったものだ。そして今年も台風18号と19号の去来に挟まれながら、今日10月10日の東京は晴れ。10月10日が晴れるのか、「体育の日」が晴れるのか。

◆日経平均にも上昇の特異日、下落の特異日がある。『日経平均ガイドブック』によると、上昇の特異日は1月14日(上昇確率79%)、下落の特異日は11月7日(上昇確率29%)である。8割近い確率で上昇し、7割以上の確率で下がるというなら確かに特異日かもしれない。しかし、所詮、株価は上がるか下がるか二つに一つだ。例えば、年初から昨日まで今年の営業日は190日あったが、上昇した日が96日、下落した日が94日とほぼ半々。それでも日経平均は昨年末の終値から800円以上も安い水準だ。騰落日数はほぼトントンでも下げ幅のほうが上げ幅を上回ったということだ。つまり騰落の回数を○勝○敗で語っても、あまり意味はないのである。

◆素人は9勝1敗でもトータルの損益がマイナスになることがある。利が乗るとすぐに利食ってしまう。一方、損切りは遅れ、その1敗で薄く積み重ねた利益を吹き飛ばすからである。プロのトレーダーはその逆を行く。1勝9敗でもトータルの損益はプラスになる。早め早めに細かい損切りを重ねるが、利が乗ったポジションをうまく引っ張って大きなリターンにつなげるからである。

◆ちゃんと統計に当たって調べたわけではないけれど、おそらく1964年は「聖子」という名前が多い「特異年」だろう。64年生まれの「聖子」さんはたくさんいるに違いない。大勢の「聖子」さんへ。同じ名前のひとがいくらたくさんいても、「あなた」という存在は、もちろん、「あなた」ひとりだけ。特異な、いや、特別な存在である。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

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