チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。
広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
【新潮流】第146回 初夢
◆新年あけましておめでとうございます。
さて、読者のみなさんはどんな初夢をご覧になっただろうか。初夢に見ると縁起の良いものとして、「一富士二鷹三茄子(なすび)」と言われる。富士はわかる。初夢に富士山の雄大な姿が現れたら、それはさぞかし縁起がよいと思うだろう。しかし、鷹はどうか。たしかに賢く強い鳥だから悪くはない。富士、鷹はいいとしても茄子となるともうわけがわからない。夢に茄子が出てくる?う~ん、かなりビミョー...と、思っていたら娘が初夢で茄子を見たという。聞けば、「茄子のトマトソース・パスタを食べる夢」だったと。それなら、ありかもしれない。
◆今年の干支は未(ひつじ)。相場格言は「未辛抱」である。ところが、この干支に関する相場格言ほどあてにならないものはない。実際のところ、卯(2011年)は「跳ね」ないし、辰巳(2012年、2013年)は「天井」にならず、午(2014年)は「尻下がり」どころか12月に一時1万8000円をつける場面があった。日経平均ができて60年余り。各干支が経験した相場の回数は5~6回。統計のサンプルとしては少な過ぎるのである。
◆1989年末に日経平均は史上最高値をつけた。翌90年から株式市場の崩落が始まったから、今年でバブル崩壊25年、四半世紀が経つ。そのバブルの起点とも言えるのが1985年のプラザ合意。そこからは30周年だ。そして戦後70周年でもある。今年はいろいろ節目の年だ。
◆もちろん歴史や過去は尊重する。しかし、あまりにこだわることは慎みたい。考えてみれば、歴史的な事件というようなものは毎年起こる。毎年が「○○から何周年」と言えるのだ。下手なこじつけをすれば、茄子だって「事をなす」として縁起がいいものとなるように。
◆縁起や格言や風習等、そんなもの全て、軽々と飛び越える若い感性を持っていたい。過去は過去。徒(いたずら)にとらわれることなく、積極的に未来に目を向けたい。前を向いて今年も一生懸命に駆け抜けていこう。
初夢の途中で眠くなりにけり(野口る理)
今年も【新潮流】ご愛読のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます!
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆