チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。
広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
【新潮流】第162回 リフレ
◆最近はどうにもリフレ派の気勢が上がらない。リフレ派とはリフレ政策を支持するひとたちの総称で、リフレ政策とはマイルドなインフレを起こすことを目標に、量的緩和をおこなうことである。すなわち黒田総裁・岩田副総裁という日本を代表するリフレ派が率いる日銀がこれまで実施してきた政策こそがリフレ政策である。
◆2013年4月の「異次元緩和」またの名を「黒田バズーカ1」に続き、昨年秋に追加緩和、通称「黒田バズーカ2」を決めたにもかかわらず、一向にインフレが高まらない。これではリフレ派の旗色も悪くなろうというものだ。そんなところに追い打ちをかけるような事件が起きた。
◆「JKリフレ摘発で逮捕者」。ついにリフレ派から逮捕者か?と思ったが、ちょっと違うようだ。「JKリフレ」とは、「JK(女子高生)によるリフレクソロジー」の略。女子高校生の格好をした若い女性従業員がマッサージを行うサービス業だという。なかには実際に女子高生をサービスに当たらせる業者もおり問題視されていた。今回はそうした悪質なJKリフレ店が摘発され、経営者の男ら2人が警視庁に逮捕、18歳の女子高校生2人が補導されたというニュースだ。
◆同じ「リフレ」でもリフレ政策の「リフレ」はリフレーション(通貨再膨張)、JKリフレの「リフレ」はリフレクソロジー。「reflex(反射)」と「-ology(~学)」を合わせた造語で「反射療法」と呼ばれる。足裏や手の平などのツボを押して、からだの様々な部位の改善を図るものだ。例えば、土踏まずを刺激すると胃腸など消化器の疾患に効く、といった具合だ。
◆足裏には効くツボがたくさんある、と言われれば、確かにそうかもしれないと思う。しかし、足裏のツボを刺激して内臓疾患が改善するというのは、どういう経路で効果があるのかはっきりしない。量的緩和をおこなえばインフレになる、と言われれば、そうかもしれないと思う。しかし、どういう経路でインフレになるのかはっきりしない。リフレーションとリフレクソロジー、案外、似ている。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆