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新潮流

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。

広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

【新潮流2.0】第19回「やればできる」

◆先日、同業者10人ほどで会食する機会があった。諸々事情があって会食のスタート時間はなんと夕方5時から。平日の話である。半ば世捨て人のような生活を送っている僕は別として、仮にも金融機関の調査部門でバリバリ仕事をこなしている他のアナリスト諸氏がそんな時間に集まれるのだろうか、と訝しく思っていたが、果たして全員が一同に揃って5時にはテーブルを囲んでいた。誰かが言った言葉に皆うなずいた。「意外と、やればできるじゃん」

◆証券会社と言えば、かつては「セブン・イレブン」(朝7時から夜11時まで営業)と揶揄された長時間労働の代表業種のようなものであった。今ではそのコンビニさえ深夜営業をやめるという。少子高齢化で労働力不足が深刻な問題になってきた。有効求人倍率は25年ぶりの高水準。牛丼チェーンから宅配業者まで人手不足で文字通り手が回らない業態が増えている。政府が力を入れる働き方改革、待ったなしの状況だ。

◆単純な人手不足という構造ではないことは周知の事実だろう。要は雇用のミスマッチ。人手が足りないところは絶対的に足りないが、一方で余剰も多くある。大企業のホワイトカラー部門だ。本当に「ブラック」で長時間労働しないと回らないような職場もあるのだろうが、なかには本来は削減できる残業も多くあるに違いない。いわゆる「付き合い残業」とか「職場の雰囲気」といったものが影響しているケースだ。

◆いよいよ今月24日からプレミアムフライデーが始まる。経産省や経団連が音頭を取って月末金曜日の午後3時には退社を促す取り組みである。消費喚起が狙いというが、長時間労働是正にもつながる。午後3時なんてけち臭いこと言わずに、いっそ昔の土曜日みたいに金曜を「半ドン」にしたらどうか。先進的な企業では週休3日というところも広がっている。厚生労働省の調査によると、週3日以上の休みを設けている企業の比率は2015年に8%となり、10年前に比べて3倍に増えた。

◆プレミアムフライデーに対する期待がある反面、不安もある。この日を早帰りするために、他の日に残業が増えたりするのではないか。それではトータルの生産性が上がらず意味がない。また、「職場の暗黙のルール」みたいなものに縛られて制度が形骸化するおそれがある。いい例が大手企業の多くは何年も前から水曜日を「ノー残業デー」「早帰り日」としているが、あまり遵守されていないようである。

◆もうひとつ、別な問題がある。3時に退社しても、することがないおじさんたちが結構多いと思われる。オフィスを出て、とりあえずビールでも飲むしか他にすることがないのではないか。まあ、それでもよしとしよう。プレミアムフライデーに飲むビールは、プレミアムモルツで決まりだろう。プレミアムモルツ、略してプレモルだ。そう、われわれ日本人はなんでもすぐに略してしまう。キムタク、ドリカム、ミスチル、就活、学割、こち亀、ドラクエ、たなぼた、やぶ蛇、etc... 短く縮めるのが本来好きなのだから、労働時間の短縮だってきっとうまくいくに違いない。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

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