新潮流

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。

広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

【新潮流2.0】 第37回 習い癖

◆我が家の最寄駅は大改修工事をおこなっている。東西の連絡通路を北側にもうひとつ新設するのに伴い北口に新しい改札口ができる。我が家にはぐっと近く、駅のホームまで到達する時間が5分は短縮されるだろう。喜ばしい限りなのだがひとつ問題がある。改札のどのゲートを通ったらいいか、最初はわからないことだ。

◆今の改札は、一番右側のゲートを通ることにしている。そこを通ると、その日はたいてい、物事がうまく運ぶ。素敵な出会いや新しい機会にも恵まれる。ところが、ひとの流れに邪魔されて仕方なく別のゲートを通ってしまうと、ついてなかったり失敗したりすることが多い。過去の経験の積み重ねが行動様式を決め、それが習慣になっていく。みなさんも、そんなことってないですか?

◆習慣を変えるのは難しい。だが個人投資家にはぜひとも変えてもらいたい「習い癖」がある。それは株価が上がるとすぐに売ってしまうことだ。確かにバブル崩壊後の右肩下がりの相場では上がったところを売っておくのが正解だった。だが日経平均がバブル崩壊後の戻り高値を大きく上抜いたことに象徴されるように相場は新しいステージに入っている。これまでうまくいっていた手法が今後も続く保証はない。

◆どの改札ゲートを通っても、その日に起きることと因果関係などない。上で述べたことは、「そこを通ると、物事がうまく運んだ(ように感じる)」「別のゲートを通ると、ついてなかったりすることが多い(ように感じる)」というだけのことだ。ひとはランダムな事象にむりやり因果関係を当てはめてしまう。そうだとわかっているから、僕は一番右の改札ゲートを通り続ける。そこを通っても、ついてない日もダメな日もあるのだと確認するために。運・不運はランダムに訪れるのだということを身をもって知るために。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

【お知らせ】「メールマガジン新潮流」(ご登録は無料です。)

チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから

レポートをお読みになったご感想・ご意見をお聞かせください。

過去のレポート


マネックスレポート一覧

当社の口座開設・維持費は無料です。口座開設にあたっては、「契約締結前交付書面」で内容をよくご確認ください。
当社は、本書の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本書の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。本書の内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。