チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。
広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
【新潮流2.0】 第43回 春はすぐそこに
◆18日までの1週間に全国の医療機関から厚生労働省に報告されたインフルエンザの患者数が大流行の恐れを示す警報レベルを下回ったという。この冬猛威を振るったインフルエンザも峠を越えたようだ。僕の周りでもインフルエンザに罹るひとが大勢いて、記録的大流行というのを実感したものである。
◆この冬はインフルエンザも大変だったが大雪にも悩まされた。東京が雪に弱いのは毎度のことだが、雪に慣れているはずの北国でも、これだけの量が降り積もると自動車やトラックの立ち往生が相次いだ。日本全国、インフルエンザに大雪に苦しめられた。そんな大変だった冬ももう終わりである。24節季では今は雨水と啓蟄の間である。雪は雨に変わり、もうしばらくすれば土の中の虫たちも蠢動し始める。
◆大変と言えば、株式市場も大変な激震に見舞われたが、相場の変調もどうやら終息の兆しが見えだした。震源地・米国市場ではダウ平均は下げ幅の半値を戻した。「半値戻しは全値戻し」との格言もある。もとの高値を取り戻すのも時間の問題だろう。時価総額最大のアップルが急落前の水準に戻し、いまや最強企業のひとつアマゾンが初の1500ドルの大台に乗せ、AI時代の半導体メーカー、エヌビディアも先週最高値を更新するなど、米国の主力企業が力強く上昇している。
◆日本株の戻りが鈍いのは円高の重石もあるが、米国のような「相場の柱」となる銘柄がないことも要因のひとつだろう。しかし、もうすぐ日本株も米国株を追いかける格好で戻り歩調をたどるに違いない。その時けん引役となる銘柄はなんだろう。もたつく相場のなかで目を凝らそう。家の前の桜並木を眺めると、まだ冬木立の風情だが目を凝らしていると、ごく薄っすらとだが枯れ木の枝が桜色に色づいているのがわかる。春はもうすぐそこまで来ている。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆