米国マーケットの最前線

米国マーケットの最前線-経済動向から日本への影響まで-(随時更新)

世界一の規模を誇る米国マーケット。経済動向や注目トピックの解説、そして日本に与える影響まで踏み込んだ旬な情報をお届けいたします。

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

雇用統計直前レポート

ADP雇用統計(前月差) 7月 +17.9万人 市場予想 +17.0万人 前月 +17.6万人
(予想)非農業部門雇用者数(前月差)  7月 市場予想 +18.0万人 前月 +28.7万人 
(予想)平均時給 市場予想(前年比)  7月 市場予想 +2.6% 前月 +2.6%
ISM製造業景況感指数  7月 52.6 市場予想 53.0 前月 53.2
ISM非製造業景況感指数 7月 55.5 市場予想 55.9 前月 56.5

■雇用者数の伸びが大きな焦点

本日(5日)日本時間21時半に7月分の米雇用統計が発表される。今月の雇用統計の大きな注目点の1つは非農業部門雇用者数の伸びがどの程度かという点だ。5月分の非農業部門雇用者数計は、速報値の段階で3.8万人増と大幅に落ち込んだ。それが6月分の発表時にさらに1.1万人増まで下方修正された。もう少し長めのスパンで非農業部門雇用者数の伸びをチェックすると、2月から5月まで+23.3万人→+18.6万人→+14.4万人→+1.1万人と減少傾向を辿っていた。6月分が28.7万人増と大幅に増加したため労働市場に対する過度な懸念は後退した格好だが、本当に米国労働市場に変調が起きていないのか確認するうえで7月分の伸びがどの程度になるか注目される。

■労働市場関連指標は堅調

米国労働市場は概ね堅調な改善を続けているとみている。3日に発表された雇用統計の先行指標であるADP雇用統計は、17.9万人増と市場予想を上回って前月から伸びがやや増加した。ADP雇用統計の伸びは今年に入って平均18.3万人増で推移している。また、労働市場の先行指標である新規失業保険申請件数の4週移動平均も概ね減少(望ましい)傾向を継続しており特段大きな傾向の変化はない(グラフ参照)。7月の非農業部門雇用者数は堅調な労働市場の動向を反映し、17-19万人程度の伸びになるのではないかと考えている。

揃って前月から悪化も水準としては悪くないISM景況感指数

企業の景況感を示す重要指標である7月のISM景況感指数は製造業・非製造業とも前月から低下した。ただし両指標とも低下幅は小幅で内容を細かく見てもそれほど悪いものではなく、米国企業の景況感が大きく悪化したわけではないと考えられる。

先に発表された製造業指数はヘッドラインが52.6と前月の53.0から0.4ポイント低下した。ヘッドラインを構成する5項目の内訳を見ると、新規受注(57→56.9)、生産(54.7→55.4)、在庫(48.5→49.5)、雇用(50.4→49.4)、入荷遅延(55.4→51.8)と改善が2項目、悪化が3項目である(グラフ参照)。ヘッドラインの低下は特に入荷遅延の悪化の影響が大きく、全体で見れば製造業の景況感の水準に大きな変化はないとみてよさそうだ。

また、非製造業指数も同様の傾向だ。ヘッドラインは55.5と前月の56.5から1ポイント低下した。ヘッドラインを構成する4項目の内訳を見ると新規受注(59.9→60.3)、雇用(52.7→51.4)、業況(59.5→59.3)、入荷遅延(54→51)と改善が1項目、悪化が3項目となった(グラフ参照)。こちらも入荷遅延が前月から3ポイント低下した影響が大きく、新規受注はむしろ改善していることなどからすると、全体の景況感が大きく悪化したわけではなさそうだ。米国企業の景況感は引き続き概ね堅調に推移しているとみてよいだろう。

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