米国マーケットの最前線-経済動向から日本への影響まで-(随時更新)
世界一の規模を誇る米国マーケット。経済動向や注目トピックの解説、そして日本に与える影響まで踏み込んだ旬な情報をお届けいたします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
FOMC結果報告~予想通りの利上げ実施~
フェデラル・ファンド金利ターゲットレンジ 0.25%~0.50% → 0.50%~0.75%
■事前の予想通り利上げを実施
12月13日から14日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラル・ファンド金利(FF金利)の0.25%の引き上げ(利上げ)が決定された。昨年12月以来1年ぶりの利上げである。ただ、イエレンFRB議長をはじめとしたFRB高官たちはくり返し12月の利上げ実施を示唆していたため、利上げ実施自体に驚きはなかった。前回のレポートで記したように、焦点は利上げ実施の有無ではなく来年以降の経済予測(プロジェクション)の内容だった。プロジェクションの中でも特に注目されていたのが2017年のFF金利の予想値である。
結果的に同予想値は9月時点の1.125%から1.375%に0.25%引き上げられた。これは、9月時点でFOMCメンバーは2017年に2回の利上げが実施されると考えていたが、それが1回増え3回になったことを示唆している。市場では金利予想は据え置かれるのではないかとの見方も出ていたため、発表を受け米長期金利は大きく上昇、115円どころだったドル円は117円台まで円安に振れた(グラフ参照)。また、ダウ平均は輸出関連などに幅広い売りが出て118ドル安と、11月1日以来となる3桁の下げで取引を終えた。米金利上昇でドルが買われ、株が売られるというのは教科書的な反応と言えるだろう。
筆者は前回のレポートで、12月のFOMCではFF金利見通しが9月時点より上方修正され、日米の金利差拡大が意識されて一段のドル高が進行する可能性がある一方で、米国株の利益確定売りの契機になるシナリオについて指摘していたが、概ね想定通りの展開となった。
上述したように最も注目されていた2017年末の金利予想が引き上げられたためマーケットはその部分に大きく反応したとみられるが、表に示したようにそれ以外のGDP成長率などの予想については実は前回のFOMCから大きな変化がない。特にインフレ率については9月時点の予想から全く変わっていない。これらからすると現時点でFOMCメンバーの米経済への見通しには大きな変化は出ていない。
おそらく次の利上げは3月のFOMCで本格的に議論されることになるだろう。ただ、これまで同様イエレンFRBは経済指標を見極めながら慎重に利上げ判断を行うという姿勢を崩さないのではないか。そう考えると、次のプロジェクションが示される3月のFOMC時点ではトランプ氏が大統領に就任してから日が浅く氏の掲げる経済政策の影響を見極めるための材料が不足するかもしれない。その仮定にたてば、現時点で本命となる次の利上げ時期は6月のFOMCではないかと考えている。
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