米国マーケットの最前線

米国マーケットの最前線-経済動向から日本への影響まで-(随時更新)

世界一の規模を誇る米国マーケット。経済動向や注目トピックの解説、そして日本に与える影響まで踏み込んだ旬な情報をお届けいたします。

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

FOMC結果&雇用統計直前レポート


■予想通り金利を据え置いたFOMC

31日から1日にかけて行われた連邦公開市場委員会(FOMC)で大方の予想通りフェデラル・ファンド金利(FF金利)は据え置かれた。前回12月のFOMCで金利の引き上げが行われたばかりとあって、今回は据え置かれるというのがコンセンサスでその通りの結果となった格好だ。今回の会合での注目ポイントは金利の変更ではなく、声明文で次回会合(3月開催)以降での利上げについてどのような示唆が行われるかという点だった。

結論から言えば、声明文に次回会合での利上げを示唆するような文言は盛り込まれなかった。前回の声明文から顕著に変化した点としては、経済認識が示される冒頭のパラグラフで「消費者と企業のセンチメントを計る指標は最近改善した(Measures of consumer and business sentiment have improved of late.)」とポジティブな変化が追加されたということだ。ダウ平均が市場初めて2万ドルに達するなどトランプ大統領への期待の高まりを受けた景況感の改善を指摘したものだろう。その他には他のパラグラフを含めて大きな変更はなされなかった。足元ではFRBのバランスシート縮小についての報道も目立っていたが、それについての文言も変更されなかった。

もちろん今後の経済指標次第で3月のFOMCで利上げが行われる可能性は残されているが、声明文を素直に解釈すれば3月会合での再利上げの可能性は低下したと考えて良いだろう。イエレンFRBは経済指標を見極めながら慎重に利上げを進めるというこれまでの姿勢を継続するということだ。また、トランプ大統領の就任直後から入国規制問題で混乱が起きていることもあり、しばらくは新大統領の手腕を見極めたいとの思惑もあるのかもしれない。さらに3月には米国の債務上限引き上げが再び問題になる見込みだ。こうした諸々の不確定要素を考慮すれば、現時点では次の利上げ時期の本命は6月のFOMCではないだろうか。なお、今年のFOMCの日程は以下のとおりである。

■ADP雇用統計、ISM製造業指数とも上振れ

明日2日に1月分の雇用統計が発表される。その先行指標であるADP雇用統計は前月から24.6万人の増加と市場予想を大きく上回って前月から伸びが加速した(グラフ参照)。2016年の平均17.5万人を大きく上回っており、さすがに特殊要因による一時的な大きな伸びの可能性があるとみられるが、労働市場の先行指標である新規失業保険申請件数も減少(望ましい)傾向を続けていることからも米労働市場は堅調な改善を続けていると判断できるだろう(グラフ参照)。1月分の非農業部門雇用者数の伸びについて、マネックス証券では市場予想をやや上回る20万人程度の伸びではないかと予測している。

また、労働者数の伸び同様またはそれ以上に注目度が高いのが賃金の伸びである。12月分の雇用統計で労働者の平均時給は前年比2.9%と2009年5月以来の高い伸びとなった。賃金が高い伸びを継続すれば、いよいよ労働市場の引き締まりが進みインフレ圧力が高まったとの判断からFRBが早期の追加利上げに動きやすくなる可能性がある。

労働市場以外の経済指標も堅調な内容が目立っている。1日に発表されたISM製造業景況感指数は56.0と2014年11月以来2年2ヶ月ぶりの高水準だった。前月からの改善は5ヶ月連続である。ヘッドラインを構成する各指数の内訳を見ても、新規受注(60.3→60.4)、生産(59.4→61.4)、在庫(47→48.5)、雇用(52.8→56.1)、入荷遅延(53→53.6)と全5項目が揃って前月から改善した。米製造業の景況感は非常に好調のようだ(グラフ参照)。

一方、1月の新車販売台数はやや軟調だった。販売台数は年換算1761万台で、前月比4.4%減・前年比1.6%減と販売台数が減少した(グラフ参照)。新車販売台数は個人消費の先行指標であるほか、製造業全般への影響が大きいことも知られている。12月が前年比5.2%増と大きな伸びだったことからその反動という可能性があり、現時点で過度な悲観は必要ないだろうが2月以降の販売台数を注視していく必要があるだろう。

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