米国マーケットの最前線-経済動向から日本への影響まで-(随時更新)
世界一の規模を誇る米国マーケット。経済動向や注目トピックの解説、そして日本に与える影響まで踏み込んだ旬な情報をお届けいたします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
雇用統計結果報告
都合により「米国マーケットの最前線」は休載とさせていただきます。
■非農業部門雇用者数は大きく上振れもその他はまずまずといった内容
3日に1月分の米雇用統計が発表された。非農業部門雇用者数は市場予想(18万人増)を大きく上回り前月から22.7万人増加した。過去分は12月分が15.6万人増から15.7万人増に上方修正、11月分は20.4万人増から16.4万人増に下方修正され、トータルで3.9万人の下方修正となった(グラフ参照)。また、失業率は前月の4.7%から4.8%に上昇(悪化)した。ただ、失業率の悪化は労働参加率の上昇(62.7%→62.9%)を伴うもので大きな問題はないとみられる。
上述したように非農業部門雇用者数は予想を上回る好内容だったが、その他の各指標は「まずまず」といった内容で労働市場の改善ペースの加速を示唆する内容ではなかった。将来のインフレ圧力となるため大きな注目を集めていた労働者の平均時給は前年比2.5%の上昇と市場予想の2.7%を下回って前月から伸びが鈍化した(グラフ参照)。2.5%の上昇というのは悪い水準ではないが、足元の数ヶ月間で賃金の伸びがじりじりと拡大していただけにやや期待はずれと言える。
本来は正社員を希望しているがやむを得ずパートタイマーとして働く人を失業者にカウントしたU-6失業率や失業者に占める長期失業者の割合のいずれも前月からわずかに悪化しており、このあたりの指標を見ても労働市場はこれまで同様緩やかな回復を続けているという印象で、急改善と言う状況にはない。
マーケットもやや失望といった反応を示した。雇用統計発表後に米2年債利回りは低下し、ドル円は円高ドル安に振れた。その後ドル円、金利とも値を戻したものの結局雇用統計の発表前より下落して取引を終えた(グラフ参照)。
総合的に判断すると1月分の雇用統計は決して悪い内容ではないが、一方でFRBに利上げペースの加速を促すような好内容ではなかったと言えそうだ。前回のレポートでも記したように、現時点では3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは見送られる公算が高いと考えている。
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