日本株銘柄フォーカス

シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。

金山 敏之 プロフィール

【決算メモ】ピジョン(7956)

上方修正ながら株価が急落した本当の理由は

7日に3割近い営業増益の中間決算と、通期の営業利益を従来の139億円から150億円へと上方修正した業績予想を発表したピジョンの株価は8日に13%安と急落しました。上方修正にも関わらず株価が急落した理由としては、中国の8月の貿易統計で輸入が二桁減少し、中国の景気減速懸念が一段と強まり日経平均が大きく下落するなかで、上方修正が市場のコンセンサスに届かなかったことが失望されたとの解説もあります。

しかし、本当の理由は第3四半期(8-10月期)に中国で在庫調整が必要となったことで、ピジョンの成長をこれまでけん引してきた中国での販売に陰りが出始めたのではとの懸念が出たためだといえます。ピジョンの説明では、中国の在庫が正常な水準から3割程度多く、これを解消するために在庫調整が必要で、中国での現地通貨ベースでの今期の販売計画もこれまでの前期比14%増から8%増へと下方修正しています。

在庫が過剰となった主な理由としてピジョンでは市場の変化を挙げています。ECサイトで商品を購入する消費者が増えるなか、母乳パッドなどの消耗品を中心に現地の安い製品が売り上げを伸ばし、ピジョン製品の店舗での販売が落ちたとしています。特に6月から売り上げが急速に落ちたとのことで、これが中国で株価が急落した時期と重なるだけに、株価低迷による購買力低下といった連想が働きます。

ピジョンは2010年にも中国で過剰在庫となり2011年1月期は減益決算となりました。今回は2010年とは違って過剰在庫に気づくのも早く、対策も打つので在庫調整が終わる第4四半期には好調だった上期並みの状況に戻るとピジョンではみています。しかし、消耗品だけでなく哺乳瓶などでも在庫が積み上がっているようで、落ち込みが一時的なもので終わるのかは不透明だといえます。第4四半期以降の販売状況を確認する必要がありそうです。

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