シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】ツルハホールディングス(3391)
コンセンサス届かずで売られるも実はコンセンサスに近い内容か
16日に第1四半期(6-8月期)決算を発表したツルハホールディングスの売上高は前年同期比11%増の1,231億円、営業利益は同21%増の86億円となりました。大幅な増収増益ですが、決算発表翌日の株価は一時5%近く下げる場面もありました。株価が大きく売られた理由としては、1四半期の営業利益が92億円のコンセンサス予想に届かなかったためとの解説もみられました。
しかし、コンセンサス予想の92億円と実績の86億円の差は、出店が前倒しになったことによる経費の差で、第1四半期の営業利益はコンセンサスに近い内容だったとみることもできそうです。この第1四半期の新規出店は31店舗で計画を6店舗上回りました。このため経費は社内計画を7億円上回っています。
31店舗の新規出店は売上高を計画比で13億円押しあげましたが、利益貢献はなかったと考えると、この第1四半期では経費だけが先行したとみられます。したがって出店の前倒しがなく計画比で上振れた経費7億円の多くが必要なかったと仮定すると、営業利益はコンセンサス予想に近い数字となり、実はコンセンサス予想並みだったといえます。
第1四半期の営業利益は、経費が7億円計画を上回りながらも、1.3%増とみていた既存店売上高が6.2%増となったことなどで社内計画を7億円強上回りました。決算を受けての株価の反応は冴えませんでしたが業績は好スタートを切ったといえそうです。
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