シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】しまむら(8227)
上期下振れで下期は高い目標設定に
28日発表のしまむらの中間決算は前年同期比で5%近い増収を確保し、計画をほぼ達成しました。しかし、営業利益は前年同期比で13%近い増益を見込んでいた計画を大きく下回って6%を上回る減益となりました。このように売り上げが計画通りとなりながら、営業利益が計画に届かなかったのは粗利益率が悪化したためで、業績の足を大きく引っ張りました。
その粗利益率はこの中間期で31.4%と前年の中間期の32.1%を0.7ポイント下回り、計画の32.9%に1.5ポイント届きませんでした。これは雨や低気温で過剰となった在庫を消化するために6月と7月に値下げを行ったためで、販売管理費は計画内に抑えられコントロールされていることから、営業利益の下振れはこの粗利益率の悪化によるものだといえます。
しまむらでは上期の利益が下振れたにも関わらず、下期の回復を見込んで通期の業績予想を据え置きました。その結果、下期は高い目標設定となっています。売上高が計画通りに着地するとして、下期の粗利益率は34.3%という水準が必要となりますが、ここ数年のしまむらの下期の粗利益率や上期の実績と比較して高い水準だといえます。しまむらの下期の粗利益率は2015年2月期が31.4%、2014年2月期が32.1%、2013年2月期が32.9%となっています。
商品単価の引き上げが上手くいけば粗利益率のある程度の改善は期待できますが、それでも下期の粗利益率の計画が高い水準であることに変わりがなく、計画達成には売上高の大幅な上振れが必要となりそうです。また、営業利益でみても下期の計画はとても高くみえます。下期の営業利益は前下期比で6割近い大幅増益予想となっています。通期の計画達成のハードルは低くないといえそうです。
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。