シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】オンワードホールディングス(8016)
国内外で苦戦続き先行き不透明
オンワードホールディングスが2日に発表した上期(2-8月期)決算は国内、海外ともに不振で大幅減益となりました。上期の営業利益は前年同期比で9割の減益で、わずかに2億円強と計画の24億円を大きく下回りました。国内が4割を超す減益となったことに加え、海外も欧州を中心に事業環境が悪化したことなどで赤字が拡大しています。
国内の不振は、消費増税による駆け込み需要の反動が予想された3月の落ち込みを少しでも小さくしようと商品を積極投入したものの、主力のオンワード樫山の3月の月次売上が前年同月比で18%も落ち込むなど予想以上の苦戦となったため、その後は在庫処分に追われ値下げで粗利益率が悪化したためです。上期の粗利益率は前年上期に比べ1.3ポイント低下し、経費コントロールによるコスト削減を進めたものの、粗利益の減少をカバーしきれず、結局、営業利益は前年上期に比べ23億円強の減少となりました。
上期の不振を受けてオンワードホールディングスは通期の業績予想を下方修正しました。前期比6割近い増益の90億円と見込んでいた営業利益を2割近い減益となる46億円へと見直しています。下期の計画を前年下期と比較してみると4割近い増益で、ハードルは低くないようにもみえます。しかし、従来予想からは3割近く下方修正されているうえ、粗利益率を上期よりも厳しくみたうえで、粗利益の減少を経費の削減でカバーする見通しとなっていることから、計画通りに経費がコントロールできれば達成可能な数字にもみえます。
上期のオンワード樫山の月次売上は4月以降もマイナスが続き上期トータルでは8%減となりました。9月は5%減となったものの廃止ブランドなどの影響などを除くと前年並みの水準を確保しており、下期はまずまずのスタートを切ったようです。しかし、国内は消費増税の影響から抜け出したと言い切れず、苦戦する欧州も含めて業績回復のための具体策に欠けています。したがって課題山積で先行きは依然として不透明だといえます。
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。