日本株銘柄フォーカス

シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。

金山 敏之 プロフィール

【決算メモ】サイゼリヤ(7581)

海外の拡大と国内のコストコントロールで5期ぶりの増益

サイゼリヤが14日に発表した2015年8月期の決算は営業利益が前期比37%増の75億円となり5期ぶりの増益となりました。売上高が国内外の新規出店や既存店の堅調な伸びを背景に前期比1割増の増収となるなか、円安や原材料価格の上昇による原価率の上昇を販売管理費率の低下でカバーし、営業利益は大幅増益を確保しています。

前期の営業利益75億円は2期前の2013年8月期とほぼ同水準です。しかし、収益構造を比較してみると大きく変化しています。2013年8月期に比べて国内の営業利益が大きく減る一方で、中国をはじめとした海外の営業利益が大きく拡大する格好となっています。国内の営業利益は2013年8月期の70億円から前期に47億円へと減っていますが、海外の営業利益は5億円から28億円へと拡大しています。

このように国内の営業利益が大きく減った理由は原価の上昇です。国内原価は2013年8月期に比べ34億円増えています。しかし、国内の営業利益の減少(23億円)が原価アップ以下に収まったのは販管費率が低下しているためで、販管費率の改善が営業利益を7億円押し上げる結果となっています。つまり経費をコントロールする力はこの数年で確実に向上しており、前期も仮に販管費率の改善がなければ営業利益はほぼ横ばいだったといえます。

海外店舗は上海、広州、北京などを中心に毎年60店舗程度ずつ増加し、2013年8月末の162店舗がこの8月末には290店舗となっています。今期は出店がさらに加速し85店舗の純増で375店舗となる予定です。これに伴い海外の営業利益は34億円まで拡大する見通しとなっています。

中国でサイゼリヤが顧客ターゲットとするミドル層に株式市場の大幅下落で思った以上に損失が出ているのが懸念されるとの会社側のコメントが気にはなりますが、国内の利益を圧迫してきた原価の上昇も一巡となりそうで業績の回復基調は今期も続きそうです。

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