シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】ソニー(6758)
マーケットが意識する営業利益4000億円にどこまで近づけるか
ソニーの今期の営業利益のコンセンサスは4000億円程度(10月30日現在のIFISコンセンサス予想は4070億円)で、ソニーの平井社長もかねがね今期の営業利益の目線は4000億円と発言してきました。したがってマーケットは営業利益4000億円という水準を意識しているとみられますが、中間決算を受けて4000億円に届かない可能性も意識され中間決算発表翌日の30日のソニーの株価は3%近く下落する場面もありました。
ソニーは29日に発表した中間決算で通期予想を3200憶円に据え置きました。しかし、この営業利益は800億円の下振れリスクを吸収するためのバッファーを設けたうえでの数字です。為替のリスクが200億円、その他のリスクが600億円で、これまで下方修正を繰り返してきたこともあって、ソニーでは下振れを回避するためのバッファーを設けたうえで営業利益予想を発表しています。
したがってリスクが顕在化しなければ営業利益の4000億円も可能ということになります。しかし、中間決算では競争激化によってバッテリー事業で減損の可能性があるとソニーから説明がありました。エナジー部門の固定資産額は400億円程度とみられることから、仮に減損が現実となってもバッファーで吸収できるとみられます。減損を行うかどうかはまだレビュー中とのことですが、マーケットが意識している4000億円に営業利益がどこまで近づけるかがポイントとなりそうです。
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