日本株銘柄フォーカス

シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。

金山 敏之 プロフィール

【決算メモ】トヨタ(7203)

営業利益2.8兆据え置きながらみえてきた3兆円

トヨタが5日に発表した上期決算は営業利益が前年同期比17%増の1兆5834億円と半期で初めて1兆5千億円を上回り前年上期に続いて最高益を更新しました。販売台数減や諸経費増などのマイナス影響を円安効果(3050億円)や原価改善の努力(1400億円)などによってカバーし、前年上期に比べ営業利益は2314億円の増益となりました。

決算と同時に発表した通期の見通しでは、販売台数を第1四半期時点の895万台から875万台へと20万台引き下げ、これに伴い年間の売上高も3000億円下方修正しています。しかし、営業利益の見通しは2兆8000億円に据え置きました。円安や原価改善努力の効果が第1四半期時点より大きくなる見込みで、販売台数の引き下げによるマイナスをカバーする見通しとなっています。

今期の営業利益を上・下で比べると、上期の1兆5834億円の実績に対し、下期は1兆2166億円の予想となり、下期の営業利益は上期に比べて3668億円減ることになります。下期が上期に比べ大きな減益となるのは下期の為替の想定レートを上期に比べて円高に置いていることが大きく影響するためです。下期の想定レートはドル円が115円、ユーロ円が130円で、上期の実績(ドル円で122円、ユーロ円で135円)に比べ円高となっています。

このドル円やユーロ円に他の通貨も含めると、円高に置いた為替の影響が上期から下期に向けては2100億円マイナスに働きます。しかし、足元の為替水準はドル円が上期実績より円安で、ユーロ円は上期実績より円高ながら想定レートほどの開きはありません。したがってトヨタが想定する2100億円のマイナス影響は大幅に縮小しそうです。今の円安が続けばマーケットが期待する3兆円という水準(IFISコンセンサス予想の6日時点の営業利益予想3兆648億円)もみえてくることになります。

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