マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー 益嶋 裕が様々な角度から焦点をあてて日本企業を紹介していきます。
資金の逃避先として検討できる銘柄(1)小売業
年初から大幅な下落となった日本株
株価が大幅に下落しています。年初から1月21日までの13営業日で日経平均が上昇したのはわずか2回だけで、昨年末からの下げ幅は3,000円超に達しました。現在の日本株は、常識的な判断からすると割安・売られすぎの水準にあります。日経平均の予想PERは13倍台、25日移動平均線からの乖離率はマイナス11%、騰落レシオが53%とバリュエーション・テクニカルの両面ともに異常な水準にあります。グラフに示したように過去3年間のアベノミクス相場では、予想PER14倍がかなり確かなサポートラインとして機能しており、その面から見ても売られすぎと言えます。
反発のきっかけ待ちだったところに、昨日ECBのドラギ総裁が今後の追加金融緩和への意欲を示したことが材料視され、22日の日経平均は14時45分時点で900円超の大幅反発となっています。
ただ、もちろん既に大底をつけた可能性もありますが、一段の下落リスクにも注意を払いたい局面です。というのも今回の日本株の下落要因は日本発のものではなく、さらに1つではありません。(1)中国の景気減速、(2)人民元安や外貨準備高減少への懸念、(3)原油安による信用危機の発生懸念、(4)財政難に陥った中東マネーの売り、(5)米国の利上げ継続など主として海外要因が複合的に絡んで大幅な調整の原因となっているとみられます。これらの要因は、現在はあくまでも「懸念」として意識されていますが、実現してしまえば大きな経済ショックとなる可能性もあります。あくまでもテールリスクですが、万が一実現してしまった場合にも備えが必要です。
小売業で業績拡大・財務健全な銘柄たち
本日の銘柄フォーカスではそのような危機が起きた際の"資金の逃避先として検討できる銘柄"として、景気後退が起きた際にも相対的に業績への悪影響を受けにくいと考えられる"小売業"から銘柄をピックアップしました。業績がしっかりしていて、財務面も健全な銘柄で、ファンダメンタルズ面から見て割安感のある銘柄をご紹介します。具体的な抽出条件は以下のとおりです。
業種分類が小売業 ・過去3期の通期業績がいずれも営業増益 ・直近の通期業績の売上高営業利益率が10%以上 ・今期の予想PERが20倍以下 ・直近の自己資本比率が50%以上
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