日本株銘柄フォーカス

シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。

金山 敏之 プロフィール

【決算メモ】クボタ(6326)

新製品効果で売上高、営業利益ともに過去最高に

16日発表のクボタの2015年12月期決算は、決算期変更による9カ月間(2015年4-12月)の変則決算のため前期との単純比較ができませんが、前年の同期間(2014年4-12月)と比較すると9%の増収、13%の営業増益となりました。タイの干ばつの影響や新製品の出荷の遅れなどもあって計画を小幅に下回って着地したものの、売上高、営業利益とも9カ月ベースとしては過去最高を更新しています。

国内の売上高は消費増税減からの反動などで農機が回復したほか、排ガス規制強化対応による建機の大幅増で5%の増収を確保しました。また、海外は欧州こそ減収となったものの、北米やアジアが好調で円安の効果もあって11%増と二桁の増収となっています。営業利益は人件費やインセンティブの増加はあったものの、円安や増産益で吸収し大幅増益を達成しています。

今期は12カ月決算で9カ月決算だった前期と単純比較できませんが、昨年の同期間(2015年1-12月)と比較して3%の増収、5%の営業増益となる見込みです。為替の前提はドル円が115円、ユーロ円が130円で、前期に比べドルで6円、ユーロで4円の円高となることから、ドル、ユーロ以外の通貨の影響も含めて売上高で680億円の減収要因、営業利益では190億円の減益要因となる見込みです。

しかし、円高によるマイナスを大型トラクタや小型建機のスキッドステアローダーといった新製品投入による増販により補って売上高、営業利益とも過去最高となる見通しです。ただ、ドル円の前提を決算発表の少し前に急きょ120円から115円に変更したことから直接的な影響は業績予想に織り込んだものの、間接的な影響を織り込み切れていない可能性があると会社側では説明しています。

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