シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】ピジョン(7956)
7日に発表となったピジョンの2016年1月期は前期比9.6%増収、営業利益は同13.6%の増益となり、営業利益は過去最高を更新しました。しかし、売上高、営業利益とも会社計画を下回って着地しています。下期に中国で在庫調整が必要となり、中国での販売にブレーキがかかったことが影響しました。
中国で在庫が過剰となった理由は、ECサイトで商品を購入する中国の消費者が増えるなか店舗での販売が落ちたためです。このため前期の中国での売上高は円安の影響で前期比7.2%増となったものの、現地通貨ベースでみると同4.2%減と前年割れとなりました。
今期は在庫問題が発生しにくいネット通販を重点的に伸ばす方針で、中国での一人っ子政策廃止の影響もあり、中国での売上高は現地通貨ベースで前期比11.1%増となる見込みです。しかし、円高の影響により円ベースでみると2.8%増に止まる見通しです。
ピジョンでは中国の流通在庫問題は解消したとしていますが、現地通貨ベースで1割余りの増収を目指す中国での今期の計画はチャレンジングな目標だともしています。以前のような勢いを中国で取り戻せるかが注目されます。
こうした中国での回復に加え、国内での10年ぶりとなる哺乳瓶の値上げもあり、今期の売上高は3.0%の増収、営業利益は3.3%の増益を見込み、前期に引き続き営業利益は最高益を更新する見通しとなっています。
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。