シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】日本電産(6594)
会社予想はコンセンサス下回るも悲観する必要はなし
25日に発表となった日本電産の2016年3月期の営業利益は前期比12.3%増の1245億円となりました。これは業績予想の公表値1300億円を、また今回の決算で初めて明らかにされた社内計画値の1400億円を下回っての着地となりました。このように公表の業績予想と別の社内計画があるは特段珍しいことではありません。日本電産にも社内計画値があることは知られていましたが、それがいくらかはこれまで知らされていませんでした。
業績予想の公表値も社内計画も下回った前期の営業利益ですが、社内計画値との比較でみればおよそ150億円の下振れとなります。3四半期に50億円、そして第4四半期に100億円ほど計画から下振れたようで、アップルのiPhoneの販売不振による触覚デバイスの低迷やパソコンの販売不振によるハードディスクの下振れなどが影響したとのことです。
2017年3月期の営業利益の会社予想は前期比4.4%増の1300億円です。これはアナリストのコンセンサス予想1450億円程度を下回る水準です。しかし、前期もそうだったように今期も公表値を上回る社内計画値があると推測され、それはおそらくアナリストのコンセンサス予想に近い数字ではないかと思われます。したがって会社予想がコンセンサス予想を下回ったことを悲観する必要はなさそうです。
日本電産ではHDD用を中心とした小型モータから車載用や家電・商業・産業用へと重点事業のシフトを進めています。2020年に車載用で7000億円から1兆円、家電・商業・産業用で4000-6000億円の売り上げを目指していますが、足元ではそれに向けて順調に受注が積み上がっているようです。
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