シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】クスリのアオキ(3398)
積極出店の成否を見極めへ
クスリのアオキが6月30日に発表した2016年5月期の業績は既存店売上高の高い伸び(前期比9.6%増)などを背景に売上高が前期比21.1%増の1634億円、営業利益が同16.1%増の90.3億円と二桁の増収増益となりました。今期も既存店売上高の順調な伸び(5.3%増)を前提に売上高は18.2%増の1910億円と引き続き高い伸びを見込みますが、営業利益は0.7%増の90.5億円とほぼ横ばいに止まる見通しです。
これは今期の新規出店数が70店舗と大幅に増えることによるコスト増が負担となるためで、今期の販管費は前期に比べ2割以上増える見通しとなっています。ここ数年のクスリのアオキの新規出店数の推移をみると、2012年5月期の13店舗をボトムに21店舗、33店舗、40店舗、52店舗と増加傾向にありましたが、店舗純増率が21.4%と20%のラインを超えるのは初めてとなります。
クスリのアオキが出店を大きく増やす理由は、業界の再編が進むなか上位のドラッグストアーとの売上高の差が拡大しているためで、積極出店でこれを食い止めるためだと説明しています。しかし、店舗純増率が20%を超えてくるため、混乱を招く可能性も否定できません。問題なく出店が進むかを見極める必要がありそうです。なお、今期の積極出店が成功すれば来期以降も高水準の出店が続く可能性があり、積極出店により来期以降も一時的に利益の伸びが抑えられる可能性がありそうです。
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