シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】セブン&アイ・ホールディングス(3382)
良いところの少ない第1四半期決算
セブン&アイ・ホールディングスが7日に発表した第1四半期(3-5月期)決算は小幅な減収減益となりました。売上高は米国のセブンイレブンでのガソリン価格下落による減収(400億円)と円高による目減り(150億円)などにより前年同期比3.2%の減収、営業利益はコンビニ事業とスーパーストア事業、金融関連事業が増益を確保したものの、百貨店事業やフードサービス事業などでの収益悪化に加え、オムニチャネルの先行費用によるコスト増により同0.5%の減益となりました。
減収減益となったように第1四半期決算は良いところの少ない決算でした。米国のセブンイレブンこそ既存店売上高の伸び(4.2%増)と粗利益率の改善で円高によるマイナス影響をカバーし22%の営業増益となったものの、国内のセブンイレブンは0.4%の増益とほぼ横ばいに止まりました。売上増と粗利益率の改善による増益をオムニチャネル関連や店舗数増加によるコスト増でほぼ食いつぶす格好となっています。
また、イトーヨーカ堂とそごう・西武の百貨店事業も冴えない内容でした。イトーヨーカ堂は増益となったものの、コスト削減によるもので営業利益はわずか4億円と低空飛行が続いています。既存店売上高が2.9%減となるなどトップラインンの厳しい状況が続くなか、積み上がった衣料品の在庫(前期差68億円増の537億円)処分が下期にかけての課題となりそうです。
そごう・西武の百貨店事業も苦戦が続いています。利益率の高い婦人服を中心とした衣料品の販売低迷と粗利益率の低下による減益を、コストの削減でカバーしきれず減益となり、ぎりぎり黒字を確保した格好です。こうしたなかイトーヨーカ堂と百貨店事業の改革に加え、新規出店の基準を今後厳しくする方針を打ち出した国内のセブンイレブンが出店抑制によって高い成長を取り戻せるのか、またスタートからつまずいたオムニチャネルを立て直せるかなど課題山積です。
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