シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】壱番屋(7630)
足元の既存店の推移にやや懸念
カレーチェーンの「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋が6日に発表した2016年5月期の決算は売上高が前期比2.0%増の449億円、営業利益が同6.0%増の48億円となり、売上高が6期連続の増収で過去最高、営業利益も3期連続の増益でこちらも過去最高となりました。原材料の上昇や本部経費の増加などの減益要因はあったものの、2.6%増となった既存店売上高の伸びなどでカバーし増益を確保しました。
今期は決算期変更に伴い9カ月間(2016年6月-2017年2月)の変則決算となりますが、2015年6月-2016年2月までの9カ月間と比較すると、売上高は前年同期比1.1%の増益、営業利益は同2.9%の減益となる見通しです。しかし、2015年6月-2016年2月には含まれていない株主優待など従来決算期末に計上する費用が、この2016年6月-2017年2月期に含まれていることを考慮すると営業利益はほぼ横ばいです。
こうしたなかやや懸念されるのが足元の既存店売上高の推移です。この3月に前年同月比1.2%減となったのに続き、5月が0.5%減、6月が1.4%減とここにきて前年割れが目立つようになっています。会社側ではここ数年順調な成長が続いたことでハードルが高くなり一服感が出ていると説明しています。今期の既存店売上高の前提は1%増と高くありませんが、今後の既存店売上高の推移を確認する必要がありそうです。
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