シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】エービーシー・マート(2670)
好調なスタートを切った第1四半期
エービーシー・マートが6日に発表した第1四半期(2016年3-5月期)決算は増収増益となりました。スニーカーブームが継続したことで既存店売上高が2.7%増と堅調に推移し売上高は前年同期比4.5%増の663億円に、また広告宣伝費を抑えたことで販管費比率が低下したこともあって営業利益は同7.9%増の143億円となっています。
順調なスタートを切ったエービーシー・マートですが、足元の既存店売上高には弱さもみられます。既存店売上高は5月が0.8%減となったのに続いて、6月も0.5%減となり2カ月連続で前年割れとなっています。5月は昨年に比べ土曜日が1日少なかったことが前年割れの要因ですが、6月は急激な円高によってインバウンド需要が減少したためです。
既存店売上高がマイナスとなると、心配されるのがスニーカーブームはいつまで続くのかという点です。アパレルの店頭ではスニーカーの売り上げが既に落ち始めているといわれていることから、靴専門店でもスニーカーブームの動向が気になります。マイナスとなった6月の既存店売上高を受けて5日の株価が6%を超える大きな下げとなったのもこうした懸念が一部にあるためなのかもしれません。
アパレルと違いスニーカーの購入層が広いことから、靴専門店でのスニーカーの販売好調はまだ続くというのがエービーシー・マートの見解です。スニーカーブームのトレンドに今のところ大きな変化はないとみられますが、ブームがここ数年続いてきただけに既存店売上高に神経質な展開が続く可能性もありそうです。
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