シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】日本電産(6594)
据え置きながら実質的な上方修正
22日に発表された日本電産の第1四半期(4-6月期)決算は売上高が前年同期比3.1%減、営業利益が同5.6%増の減収増益となり、営業利益は四半期ベースで2015年度第3四半期を超えて過去最高となりました。ドル円が108円程度と前年同期から13円余り円高になり売上高は減収となったものの、営業利益は円高によるマイナス(41億円)を車載及び家電・商業・産業用の伸びなどでカバーし増益を確保しています。
新たな収益の柱として注力してきた車載及び家電・商業・産業用はこの第1四半期も順調な成長をみせています。第1四半期の車載及び家電・商業・産業用の営業利益は前年同期比32%増の138億円と大幅な増益となったうえ、改善が続いてきた利益率も前年同期から2.4ポイント近く上昇し10.0%と初めて二桁の水準を達成しています。
通期の業績予想は据え置きとなりました。しかし、ドル円の想定レートがこれまでの110円から105円と円高方向に見直されたことを考慮すると実質的には上方修正とみることもできます。ドル円を105円に変更したことによる利益へのマイナス影響は為替感応度などから試算すると50億円程度とみられますが、順調に受注が積み上がっている車載及び家電・商業・産業用などの成長でカバーできる見込みです。
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