シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】トヨタ(7203)
第1四半期は減益ながら高水準の利益を確保
トヨタが4日に発表した第1四半期(4-6月期)の決算は、売上高が前年同期比5.7%減の6兆5891億円、営業利益が同15.0%減の6422億円となりました。営業利益は円高の影響(2350億円)や諸経費の増加(300億円)を原価改善努力(900億円)や営業面の努力(850億円)でカバーし切れず前年の第1四半期に比べ1137億円の減益となっています。
それでも第1四半期の営業利益の利益率は9.7%と高く、熊本での地震の影響などでの一時的な費用700億円が仮になかったとして計算すると前年の第1四半期同様に10%を超える水準となります。前年の第1四半期から13円も円高になりながらもこの第1四半期は非常に高い水準の利益を稼ぎ出したといえそうです。
通期の業績予想は7月以降の為替の前提をドル円で105円から100円へ、ユーロ円で120円から110円へと円高方向に見直したことで下方修正となりました。売上高をこれまでの26兆5000億円から26兆円へ5000億円減額し、営業利益を1兆7000億円から1兆6000億円へ1000億円引き下げています。
為替の前提を円高方向に見直したことでのマイナス影響は期初計画比で1850億円(ドル円で1200億円、ユーロ円300億円、その他通貨で350億円)ですが、それを原価改善の努力や営業面の努力、諸経費の減少などを積み上げることによって一部を吸収する計画となっています。ドル円の前提を100円としたことで下方修正となったものの、これで今後の下方修正リスクは小さくなったといえます。
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