シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】安川電機(6506)
円高によるマイナスあるもトップラインは堅調
安川電機が20日に発表した上期決算は、売上高が前年同期比9.8%減の1876億円、営業利益が同27.2%減の138億円と減収減益となりました。しかし、売上高は円高で会社計画を下回ったものの、営業利益は計画を上回って着地しました。為替の影響(売上高で189億円、営業利益で58億円)を除いてみると、売上高は前年上期からほぼ横ばいで、営業利益は最高だった前年上期を小幅に上回ることから、本業そのものは引き続き堅調だったといえます。
通期の業績予想は下期の為替の想定レートを円高方向に見直したことから売上高で100億円下方修正(4000億円→3900億円)されましたが、営業利益は280億円で据え置かれました。ドル円を110円から105円へ、ユーロ円を125円から115円へ修正したことで円高による営業利益に対するマイナス影響は66億円から109億円へと40億円強も拡大する見通しとなりましたが、売り上げの上振れや新製品拡販による付加価値増でこれをカバーする格好となっています。
このようにトップラインは想定を上回って推移していますが、これは中国でスマホや自動車、電子部品関連での旺盛な設備投資需要を受けて制御装置(ACサーボモータ)の販売が伸びているためです。その背景には、中国ではインフラ関連などで依然厳しい環境が続いているものの、元安により輸出が伸びていることや、政府が工作機やロボット、EV向けなどに補助金を出していることなどがあるようです。
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。