シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】伊藤園(2593)
通期上方修正ながら控え目な修正
伊藤園が12月1日に発表した上期決算(2016年5-10月期)は、売上高が前年同期比2.1%増収の2581億円、営業利益が同43.0%増益の143億円となりました。売上高は麦茶飲料の高い伸びやタリーズブランドコーヒー飲料の堅調な成長によって計画を小幅に上回ったほか、営業利益は増収効果に加え、製品構成の変化や原料・資材の低下効果もあって計画を大きく上回って着地しています。
こうした上期実績を受けて伊藤園では通期の業績予想を上方修正しています。売上高をそれまでの4715億円から4750億円へと、営業利益を200億円から205億円へと引き上げています。しかし、上期の営業利益が計画を22億円余り上振れたにも関わらず、通期の営業利益を5億円しか引き上げなかったことから、下期(2016年11月-2017年3月期)の営業利益はこれまでの予想から下方修正となっています。
たた、下期の営業利益の見通しを見直したことで通期予想が小幅な上方修正に止まったというよりは、通期の予想を保守的に見積もった結果、下期の予想が下方修正となってしまったというのが本当のところなのでしょう。会社側も上方修正した通期予想は控え目なものだとの認識で、今期の営業利益は会社予想を上回って着地する可能性が高そうですが、仮に下期を従来の予想に置き換えると、今期の営業利益は2007年4月期に記録した最高益に近い水準となります。
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