日本株銘柄フォーカス

シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。

金山 敏之 プロフィール

【決算メモ】クスリのアオキホールディングス(3549)

出店加速による混乱なく上期は上振れ

北陸を中心に店舗を展開するドラッグストアのクスリのアオキホールディングスが15日に発表した2017年5月期の上期決算は、売上高が前年同期比18.7%増収の925億円、営業利益が同19.4%増益の57億円となりました。売上高は、既存店売上高が調剤を除くと計画を上回って堅調に推移したこともあって会社予想を僅かに上回って二桁の増収を確保しています。

営業利益は出店の加速により販管費が前年上期に比べて21.5%増と大きく増加したものの、粗利益率が前年上期の27.4%から28.0%と0.6ポイント改善したことで吸収し、2割近い大幅な増益となり会社予想を大きく上回って着地しています。粗利益率は季節商品や高付加価値商品の販売が好調だったことや、生鮮食品の廃棄ロスの改善が上昇につながっています。

クスリのアオキでは今期より新規出店を大きく加速させています。今期の新規出店の計画は前期の52店を大きく上回る70店で、店舗の純増率は21.4%と20%のラインを初めて超える予定です。このため混乱を招くのではといった懸念も一部にあったとみられますが、通期計画の半分強に当たる36店舗を出店した上期の業績は会社予想を上回る結果を残しており、店舗の標準化が進んでいることもあって出店加速による混乱はなかったとみられます。

通期の業績予想は、売上高で前期比18.2.%増の1910億円、営業利益で同0.7%増の91億円と従来予想が据え置きとなりましたが、上期の営業利益が大きく上振れたにも関わらず業績予想を修正しなかったことで下期の粗利益率は26.4%と上期から1.6ポイントも悪化する計画となっています。しかし、下期の粗利益率が明確な理由もなくこれほどまでに悪化するとのシナリオには違和感があります。下期も順調に出店が進めば通期の営業利益も上期同様に上振れる可能性が高そうです。

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