日本株銘柄フォーカス

シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。

金山 敏之 プロフィール

【決算メモ】ニトリホールディングス(9843)

円安のマイナスを吸収し二桁の増収増益

ニトリホールディングスが22日に発表した2017年2月期の第3四半期の決算は、売上高が前年同期比13.2%増収の3790億円、営業利益が同28.3%増益の702億円となりました。客単価はほぼ横ばいながら客数が大きく伸びたことで既存店売上高が前年同期比7.3%増と大きく伸長し、売上高は二桁の増収を確保しています。

粗利益率は3円70銭近い円安による悪化(1.1ポイント)を、商品入れ替えなどによる原価対策による改善(3.0ポイント)で吸収し1.9ポイント上昇しています。また、販管費は149億円増加したものの、販管費率は0.4ポイント低下しています。これにより営業利益は3割近い大幅な増益を確保しています。

第3四半期まで大幅な増収増益を達成しながら通期予想は売上高が前期比9.1%増の5000億円、営業利益が同8.2%増の790億円に据え置かれました。これは第4四半期のドル円レートが115円前半と第3四半期までの105円59銭から大きく円安になることや、12月の既存店売上高が前年同月比4.5%減となったことなどのためで、一桁の増収増益の見通しを据え置いています。

この結果、第4四半期(3カ月間)の営業利益は前年の第4四半期の半分程度に落ち込む計画となり、粗利益率も第3四半期までの54.7%から46.2%に大きく低下する見通しとなっています。しかし、円安で粗利益率が悪化するにしても8.ポイント以上の低下は過大にみえます。なお、来期のドル円は103円台前半でほぼ100%予約済みとなっています。

また、12月の既存店売上高の前年割れも土日が昨年に比べてそれぞれ1日ずつ少なかったためで、その影響(4.6ポイント)を考慮すると前年の水準を維持しており、販売に陰りがみえたということではなさそうです。こうしたことから通期業績は会社予想を上振れて着地しそうで、前期に続いて二桁の営業増益となる可能性が高そうです。

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