シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之が日本企業の決算内容や業界分析等を分かりやすく解説します。
【決算メモ】サイゼリヤ(7581)
国内既存店好調で上方修正
サイゼリヤが2日に発表した上期決算(2016年9月-2017年2月)は、売上高が前年同期比0.3%減収の705.5億円、営業利益が同44.2%増の46.4億円と減収増益となりました。国内の売上高は5店舗の純増に加え、前年同期比2.9%増という堅調な既存店の伸びに支えられ3.2%増収になりました。しかし、海外でアジアが円高や税制変更の影響で11.8%減となり、会社計画は上回ったものの全体では小幅な減収となっています。
営業利益は円高や原材料価格の改善による粗利益率の上昇により国内が前年同期比60.0%増の32.4億円と大幅な増益となったほか、海外もアジアが中国の税制変更(営業税から増値税に変更)で営業利益にかかる税負担がこれまでより軽くなることで同40.2%増の14.3億円となりました。この結果、中国での税制変更を織り込んでいなかったこともあって上期の営業利益は会社計画を9.4億円上回って着地しています。
ただ、アジアの営業利益は中国の税制変更で大幅増益となりましたが、中国経済の停滞で前期に伸び悩んだトップラインはまだ苦戦が続いているようです。税制変更があったため中国の既存店売上高の状況を正確に把握することはできませんが、客数の伸びをみてみると北京を除いて中国は前年割れが続いています。しかし、改善傾向がみられることもあってサイゼリヤでは下期以降の回復を期待しています。
サイゼリヤでは上振れた上期実績に加え、下期も国内の既存店売上高が当初想定を上回って推移しそうなことから通期の見通しを上方修正しています。国内純増店舗数29店舗(従来計画20店舗)、海外純増店舗数44店舗(同50店舗)、下期既存店売上高1.4%増(同0.5%減)を前提に営業利益を従来計画の前期比3.3%増の93億円から同22.1%増の110億円へと大幅に上方修正しています。
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