日本株銘柄フォーカス

マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー 益嶋 裕が様々な角度から焦点をあてて日本企業を紹介していきます。

益嶋 裕 プロフィール

過去10年の9月の好パフォーマンス銘柄は?

過去10年のうち9月に9回上昇した銘柄とは

今回の銘柄フォーカスは、定期的にお伝えしている各月にパフォーマンスが良好だった銘柄をご紹介したい。今月はもちろん9月の好パフォーマンス銘柄についてである。東証1部・2部・マザーズ上場銘柄のうち、過去10年間の株価データを取得できた1,875銘柄について8月末と9月末の株価を比較した騰落回数を算出した。表1の通り、過去10年間9月にすべて上昇した銘柄はなかったが10年のうち9年で上昇した銘柄が6銘柄あった。また、反対に過去10年9月に1回も値上がりしていない銘柄が8銘柄あった。それぞれご紹介したい。

表2に示したように、過去10年9月に9回上昇したのは、六甲バター(2266)、第一稀元素化学工業(4082)、栗田工業(6370)、三菱食品(7451)、壱番屋(7630)、トップカルチャー(7640)の6銘柄であった。知名度があまり高くないと思われる銘柄も含まれているが、参考としていただければ幸いだ。

それでは逆に、9月のパフォーマンスが悪い銘柄はどのような銘柄なのだろうか。以下表3に示した8銘柄が過去10年9月に1回も上昇していない銘柄である。ダイオーズ(4653)、レシップホールディングス(7213)、アトム(7412)、スリーエフ(7544)、安楽亭(7562)、梅の花(7604)、キムラタン(8107)、グルメ杵屋(9850)となった。表3で信用取引区分が「貸借」となっている銘柄は、制度信用取引で空売りを行うことが可能である。1つの投資アイデアと言えるだろう。

だが、パフォーマンスのさえない銘柄は2点特殊要因を考慮せねばならない。まず、キムラタン(8107)については過去10年のうち株価が横ばいだった月が8回ある。10年間ほとんど株価は一桁台で、超低位株である。10年間で9月に1回も上昇していないというのはその通りなのだが、実質的にはこの銘柄は除外したほうが良いだろう。

もう1点考慮せねばならず、そしてより重要なのが、多くの銘柄が9月に株主優待の権利確定月を迎えるということだ。ダイオーズ(4653)、レシップホールディングス(7213)、アトム(7412)、安楽亭(7562)、梅の花(7604)、グルメ杵屋(9850)の6銘柄はすべて9月が株主優待の権利確定月となっている。株価の下落を狙って信用取引の空売りを行うと、銘柄と時期によっては逆日歩(ぎゃくひぶ)という費用を支払う必要がある。空売りをして目論見通り株価が下落したとしても逆日歩の支払いによってトータルの損益はマイナスになる、という可能性があるので注意を払いたい。

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