1. 市況レポート

日本株銘柄フォーカス

益嶋 裕が様々な角度から焦点をあてて日本企業を紹介していきます。

益嶋 裕 プロフィール

急落のマザーズ市場動向 ~投資妙味がありそうな銘柄は~

マザーズ指数が急落

北朝鮮の核実験断行によるリスク回避の流れから日本株は全般的に調整ムードとなっている。日経平均も9月4日に183円安(0.9%安)、5日に122円安(0.6%安)と2日間で300円を超す下落となったが、マザーズ指数は4日に32ポイント安(2.9%安)、5日に50ポイント安(4.7%安)と2日間で7%を超える大幅安となった。6日は小幅に反発したが、7日に再び15ポイント安(1.5%安)となった。本レポートではマザーズ指数の急落に対する整理や、投資妙味がありそうな銘柄をご紹介したい。

まず、主要な国内株価指数のパフォーマンスを確認したい。表1は2016年末を100とした9月7日までの主要株価指数のパフォーマンス比較である。パフォーマンスが際立っているのが東証2部指数と日経ジャスダック平均で、それぞれ昨年末に比べて2割以上上昇している。続くのがマザーズ指数で昨年末から+7.7%上昇している。以下TOPIXが+5.2%、日経平均が+1.5%と続く。足元で急落したとは言え、マザーズ指数は日経平均やTOPIXを上回るパフォーマンスを上げているということになる。

では続いてバリュエーション面からマザーズ指数を見ていこう。マザーズへの上場は今後の成長性が重視されており、上場基準に上場時点の利益金額は設けられていない。そのためバイオ関連など赤字の企業も多くPER(株価収益率)などの株価指標が東証1部や日経平均などに比べてワークしにくいと考えられる。そのため、ここではPSR(株価売上高倍率)を見てみたい。表2は2015年以降の東証マザーズ指数と予想PSRの推移を示している。「何倍が下値の目安となる」というような水準は見当たらず判断が難しいが、現在の予想PSRは2.4倍程度で過去の推移から見ると非常に割安であるという水準にはない。足元のマザーズ指数の水準は業績面から明確にサポートされるというような水準にはなさそうだ。

では続いてテクニカル面から見ていこう。市場全体の買われすぎ・売られすぎを判断するのに良く東証1部の25日間の騰落レシオが用いられる。騰落レシオが100%を上回っていると、過去25日間で上昇した銘柄数が多く、100%を下回っていると下落した銘柄が多いということになる。一般的には120%を上回っていると買われすぎ、80%を下回っていると売られすぎと判断される。あまり見かけることはないが、マザーズ指数の25日間の騰落レシオを算出してみた(表3)。2015年以降の騰落レシオを見てみると、60%から70%程度まで騰落レシオが低下するとマザーズ指数が目先の大底になるケースが多いようだ。現在の騰落レシオは約76%で売られすぎの水準に入ってきているが、大底と判断できるかは難しい。

以上のように、業績面から見てもテクニカル面から見てもマザーズ指数が大底をつけたと筆者が自信をもって考えられる状況にはない。ただ、こうした状況下でも業績面がしっかりしていて打診買いを入れるのに良さそうな銘柄はないかいくつかピックアップしてみたのでご参考にご紹介しよう。

投資妙味がありそうなマザーズ上場銘柄は

マザーズ上場銘柄にはまさに玉石混交というように業績がしっかりと伸びている会社もあれば、全く成長できていない銘柄も多数ある。筆者はあくまでも株価と業績の伸びはリンクすると考えているので、しっかりと成長している銘柄で割高感が大きくない銘柄を選ぶべく以下の条件で銘柄をピックアップしてみた。

<スクリーニング条件>
・東証マザーズ上場銘柄
・過去4期分の通期業績が取得可能
・直近3期の通期業績がいずれも前期比で増収・営業増益
・今期の通期の業績予想も増収・営業増益見込み
・予想PSRがマザーズ上場銘柄の平均(2.4倍)以下

上記の条件でスクリーニングしたところ、以下の10銘柄が抽出された(表1)。エムビーエス(1401)、AMBITION(3300)、ビーロット(3452)、パルマ(3461)、エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート(3850)、コラボス(3908)、日本動物高度医療センター(6039)、レントラックス(6045)、リンクバル(6046)、ソネット・メディア・ネットワークス(6185)の10銘柄である。

最後に各銘柄の過去5年間の業績とビジネスの概要をご紹介する。参考にしていただければ幸いである。

エムビーエス(1401)
独自技術で建造物の美観再生や耐久性向上などを手がける外装リフォーム会社。山口県に本社を置き、主に西日本でビジネスを展開している。

AMBITION(3300)
プロパティマネジメント(賃貸管理)、賃貸仲介、不動産投資などの事業を展開する新興不動産企業。サブリースを主軸に東京23区を中心に物件を取り扱う。民泊事業にも参入している。直近期で売上の75%は賃貸管理からあがっている。

ビーロット(3452)
売上の大部分を「不動産投資開発」が占める。好立地ながら老朽化した建物を再生して稼働率を上昇させ、収益性を高めたうえで売却などを行っている。東証1部の市場変更を目指すと決算説明資料で明言している。今期から株主優待制度を導入する。

パルマ(3461)
上場不動産企業ディア・ライフ(3245)でトランクルームの滞納保証を主力とする。西東京を中心にトランクルームの増設を進めている。

エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート(3850)
NTTデータ(9613)の社内ベンチャーとしてスタートした新興企業。パッケージソフトウェア「intra-mart」の販売及び付帯するシステム開発を行う。

コラボス(3908)
コールセンターシステムをクラウドサービスとして提供。ユーザーはシステムを保有せずネットワークを経由してサービスを利用するため初期費用を押さえてコールセンター業務を運営できる。

日本動物高度医療センター(6039)
犬猫向けの高度医療を行う動物病院を川崎と名古屋で展開。まもなく東京都足立区に東京分院を開業予定。

レントラックス(6045)
ウェブコンサルティング事業、アフィリエイト事業、インターネットメディア事業を展開。成果報酬型のウェブ広告が主力。ベトナム、タイ、インドネシアなどにも海外グループ会社を持つ。

リンクバル(6046)
全国で「街コン」と呼ばれる男女が出会うためのイベントを開催。その他にも恋愛情報専門サイト、カップリングサービスなどを手がける。

ソネット・メディア・ネットワークス(6185)
ウェブの広告効果を高めるためのサービスや成果報酬型広告サービス運営を手がける。ソネットの子会社。



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