チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、実践的な株式投資戦略をご提供します。
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広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
日経平均1万8000円のその先
サンフランシスコからニューヨークに来た。日曜の夜にニューアーク空港に到着したとき雪が舞っていた。初雪である。昨日もマンハッタンの中を移動していたが1日中、粉雪が舞っていた。
このレポートがアップされるころ、僕は太平洋上空を飛んでいる。日本に戻る24日には東京にも初雪の予報が出ている。11月に東京都心で降雪が観測されれば1962年以来54年ぶり、積雪なら記録が残る1875年以来、初めてとなるそうだ。来週向かう香港でさえ寒冷前線が華南地方の沿岸地域に到達し、冬の訪れが報じられている。どうも寒いところばかり追いかけて動いているような気がするが、仕方ない。世界的に冬が来ているのだから。いや、北半球は、ということだが。
あっという間に冬の訪れ。気がつくと季節が変わっている。相場もそうである。気がつけば日経平均は1万8000円を越えた。季節は寒さを連れてきたが、相場は真逆に熱くなっている。一時は商いも薄く、相場が浮上する兆しなど何もなかったのに。市場ではトランプ氏の大統領選勝利はマイナス要因と捉えられていたはずなのに。
株式市場では「トランプ・ラリー」という言葉まで語られ、日経平均は5連騰で1万8162円。にわかにトランプ大統領誕生をきっかけに相場の景色が一変したかのように思われるが実は違う。
前回のレポートで、
<18000円 = 1200円 × 15倍 はフェアバリュー。早晩、達成するだろう。>
と述べたが、実はこれは8月下旬にすでに掲げたロジックと目標だった。
その1か月後、9月下旬に出したレポートでは既に大相場始動の予兆を指摘、テレビでもさんざん述べてきた。
<足元の環境は、米国大統領選挙の行方、ドイツ銀行の経営不安、米国は果たして利上げできるのか、そして日銀の金融政策は有効に機能するのかといった不透明材料が多くリスク回避の円高が進んでいる。ドル円相場は100円割れ目前だ。こんな状況でのゴールデンクロス、買いシグナルだと言われても俄かには信じられないのも無理はない。
しかし、過去2回、2012年と2014年にゴールデンクロスが示現したあとは、いずれも大相場につながった。その時も相場環境は決して明るくなかったが、後で振り返ればそこが相場上昇の起点だった。(中略)悪材料ばかり目立ち、市場に悲観論が蔓延しているときこそ、あとから振り返れば、そこが大相場の起点だった、ということは往々にしてあるものである。>(9月29日付けレポート「強気相場は悲観の中に生まれる」)
8月下旬のレポートに戻ると、上記バリュエーションの理屈に加えて、日経平均のダブルボトム底入れ確認や半値戻しなどチャートの重要なポイントにも触れている。なので、これまでの展開に驚きはまったくない。
この先の方針を確認したい。それは、売らなくていいということだ。このままバイ&ホールドでよいと思う。
先日のテレビ東京モーニングサテライトを見逃した方にお知らせする。僕はテレビでこう話した。「半値戻しは全値戻し」だと。昨年の高値(2万0952円)、すなわちアベノミクス相場開始以来の高値を更新するだろう。「いつですか?」と佐々木明子キャスターに聞かれて、「来年4月ごろ」と述べた。
今、メディアの論調は、「トランプ相場」にどこまで付き合うか、どこまで乗っていくか、などといつ上昇相場が終わるかばかりを語る。そういう懐疑的な見方をするひとがまだまだ多いうちは、相場は上がり続けるだろう。
日銀はETFを買い続ける。企業による自社株買いの流れも不可逆的である。年金も株式に資金を振り向ける。そうしたなか、海外勢の買いも戻り始めた。誰も株を売る主体がいない。こんなところで相場を降りてはいけない。
もちろん、揺り戻しは来る。今のマーケットはトランプ氏の政策に対して過大評価をしているとの意見がこちらでも多かった。1兆ドルのインフラ投資などできず、せいぜい2000億がいいところ。法人税も35%を15%にするのは難しく20-25%で妥協するのではないかという観測もある。過度な財政支出懸念で上昇した金利も一旦ピークアウトするだろう。そして、この相場も調整局面を迎える。だが、それはトランプ政権が誕生し、「最初の100日」を終えたあと、すなわち来年春ごろまでは本格的な調整はないと思う。
来年は久しぶりに「セル・イン・メイ」だと思うが、それまでのうちに日経平均は高値を更新するだろう。一番のポイントは米国株である。これで米国の投資家が再び活気を取り戻した。米国の投資家が元気になれば、それが日本株への追い風になるという、極めてシンプルだが、納得的な理由である。
NYダウは史上初の19,000ドルに乗せた。その日に僕はニューヨークにいた。そして、ここニューヨークで史上初の20,000ドル乗せは、トランプ政権「最初の100日」のうちに達成するだろうと確信をもった。
想像してみてほしい。NYダウが史上初の20,000ドル乗せを達成した時のマーケットの雰囲気を。その時、日経平均はどんな水準にあると思うだろうか。僕は最低でも、NYダウと並んでいると思う。
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