1. 市況レポート

アナリスト夜話(やわ)

大槻 奈那

チーフ・アナリスト大槻 奈那が、金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信します。

大槻 奈那 プロフィール

第24回 銀行預金1000兆円突破。問われる企業の投資姿勢

昨日6/11、弊社では投資セミナーを横浜で開催させていただきました。ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。ご参加の方々が熱心に聞いてくださる姿や、いただいたご質問ににじみ出る投資への思いに、改めて身が引き締まる思いでした。

一方、同日の日経新聞では、銀行などの預金が過去最高を更新しているという記事が掲載されていました。1,053兆円に達した預金が銀行に滞留している、高齢者が預金を温存している、といった点を取り上げています。

しかし、この記事には一点補足が必要だと思いました。マイナス金利導入以降の1年、特に預金を増やしているのは、個人よりも法人です。17/3月末時点の預金は、個人ではほぼそれまで同様の前年比2.6%増に留まったのに対し、一般法人では7.7%増、金融法人を含むと13.5%増と、きわめて高い伸びを示しました。

企業収益は好調で、6/1に発表された17/3月期の経常利益は10.0%の増益となりました。しかも、銀行の融資態度も緩和的になっていることから、企業の長期借入金や社債も増加しています。企業の資金繰りは歴史的レベルで潤沢になっています。

この結果、企業の資本比率は、過去最高の42.4%に達しました。にもかかわらず、企業は設備投資をいまだに渋っています。昨年度の設備投資は、前年比2.6%の増加に留まりました。有価証券投資も前年比で6.1%減少しています。更に、自社株買いは前年比で久しぶりに減少し、増配企業もそれほど増加していません。

政府は個人資産に対し、「貯蓄から資産形成へ」と促していますが、投資先の企業がまずリスクを取り成長に向かっていないことにも問題があると思います。もちろん、M&Aの失敗から窮地に立たされる企業も目立つので、やみくもに投資をするべきというわけではありませんが、今のように変化の早い世界では、成長のための新規投資は必須でしょう。そして、環境的にそれができないなら、株主還元を増やすことも有効な資本の使い道です。

これから株主総会が本格化します。日本の場合、経営者の報酬があまり業績に連動していないので、欧米以上に、株主が企業に積極投資を促すことが求められます。投資先の企業が過度に資金を眠らせているようなら、株主総会などで、資本の使い道についての議論を深めるべきかもしれません。

【お知らせ】「メールマガジン新潮流」(ご登録は無料です。)

チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。

コラムをお読みになったご感想・ご意見をお聞かせください。
ご質問の場合は、「コラム名」を明記のうえ、以下より投稿してください。

過去のコラム


マネックスレポート一覧

当社の口座開設・維持費は無料です。口座開設にあたっては、「契約締結前交付書面」で内容をよくご確認ください。
当社は、本書の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本書の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。本書の内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。