チーフ・アナリスト大槻 奈那が、金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信します。
第29回 "投資女子"活躍社会へ
今週から9月、新学期です。社会人の方々も、なんとなく夏のゆるい時期から、新たな気持ちで臨む人々も多いのではないでしょうか。
夏休み中に、小学生、高校生、若手女性社会人などさまざまな層の方々に対し、金融や投資に関してお話する機会をいただきました。どれも大変貴重な、楽しい機会でした。ご参加の皆さんに改めて御礼申し上げます。
これらの機会を通じて、改めて考えさせられたのは女性の投資活動についてです。弊社の札幌でのセミナーでは、女性の方々が最前列でメモを取りながら熱心に聞いてくださいました。大学の関係で行った高校生やその父兄のみなさんへのプレゼンでも、女性が活発に発言してくれました。
にもかかわらず、統計的には女性が男性に比べて投資経験が少ないのはなぜなのでしょうか。総務省によれば、有価証券投資の経験がある人の割合は男性21.8%に対し、女性は15.9%と低位に留まっています。
男女とも、接する投資情報はそれなりに多いと思われます。マネー雑誌は、毎号毎号、おカネはいくら必要だ、そのための商品はコレだ、とあらゆる情報をちりばめています。しかし、全くの初心者にとっては、具体的行動のキメ手に欠けます。
そこで、男性の場合は、リアルな投資体験談を友人・知人・親兄弟から聞いているのではないでしょうか。実際、株式投資を始めるきっかけを聞くと、「経験のある知人から聞いた」という人が30%程度と最も高くなっています(日本証券業協会調べ)。
女性もお金の話がキライなわけではありません。ふるさと納税で何をもらったとか、断捨離で不用品をいくらで売ったか、などの話題はよく出ますし、私も好きです。でも、何かに投資して増やした、という話は殆ど耳にしません。
投資経験がある女性が少ないため、女性同士で実体験を交換するのは難しいのかもしれません。ならば男性に聞けばいいのでしょうが、日本の男性は、投資や経済のことを女性と話すのを好まない傾向がある気がします(大いに偏見が入っているかもしれませんが...)。これを察知し、日本ではTVの女子アナも、一部の例外を除き、金融話には、庶民目線のツッコミしかしない構成になっているように見えます。
しかし、預金金利ほぼゼロという厳しい現実は、男女を問わず重くのしかかります。女性も、もっと積極的に資産形成を論じて欲しいし、男性もそんな女性を慈しみ尊重してほしいものです。