アナリスト夜話(やわ)

大槻 奈那

チーフ・アナリスト大槻 奈那が、金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信します。

大槻 奈那 プロフィール

第46回 「デジタライゼーション」が銀行株のテーマにならない理由

少し前、ある銀行で不動産購入の資金決済を行いました。こちらが送金してから売主さんが着金を確認するまで、待つこと30分余り...売主さんや不動産仲介業者さんたちを相手に、世界の金利からアパートローンの話まで、持ちネタを全て出し切りました。

それでも話題が尽きたので、送金元の銀行に「あとどれくらいかかりますか?」と聞いたところ、さらりと「こちらの送金は終わっています」とのお答え。銀行の場合、相手先銀行に送る操作さえしてしまえば、あとは自分の仕事ではないというスタンスです。相手の手元に届けて初めて業務が完了する宅配とは対照的です。

最近の銀行の経営計画では「デジタライゼーション」が柱になっています。様々な顧客取引を機械的かつ即時に実施することで、数百億円の効果を出すと説明されます。

しかし現実には、送金という一般業務ですら極めてスローです。すぐに変更するのは制度上難しいとしても、顧客を不安なまま待たせる今の慣行を疑問に思わないようでは、とても顧客目線に立っているとは考えられません。「デジタライゼーション」が銀行業務の抜本改革に繋がると評価され、銀行株のテーマとなるまでには、まだまだ時間がかかる気がします。

もっとも、私自身も極めてアナログです。先週ある銀行の小規模ミーティングに参加した際、出席していた7人のアナリストの中で、紙とペンでメモを取っていたのは、私を含む2名(おそらく年齢で上から2人)のみ。あとの5名はPCやタブレットでした。銀行を評するより、まず自らをデジタライズするべきかと猛省する今日この頃です。

【お知らせ】「メールマガジン新潮流」(ご登録は無料です。)

チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから

コラムをお読みになったご感想・ご意見をお聞かせください。
ご質問の場合は、「コラム名」を明記のうえ、以下より投稿してください。

過去のコラム


マネックスレポート一覧

当社の口座開設・維持費は無料です。口座開設にあたっては、「契約締結前交付書面」で内容をよくご確認ください。
当社は、本書の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本書の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。本書の内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。