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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
(毎営業日の朝更新)

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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。

2015年07月03日

賃金低迷のボディーブロー 

<ポイント>
◆昨日は、米雇用統計で非農業部門雇用者数が+22.3万人と市場予想を若干下回り、過去計数も合計6.0万人分下方修正され、更に平均時給が前年比+2.0%と市場予想を大幅に下回ったことを受けて、発表後にドルが米中長期債利回りの大幅低下と共に全面安となった。もっとも、発表前に好結果を見越してドルが上昇していたことから、前日比では概ね同水準への下落に留まっている。

◆ドル/円も、米雇用統計発表に向けて123円台前半から123.85円へ上昇した後、発表後に122.96円へ急反落、引けにかけては123円台を回復している。

◆本日は豪小売売上高、中国HSBCサービス業PMI、トルコCPI、英サービス業PMIなどの発表が予定されているが、米雇用統計発表という目先の一大イベントを通過し、かつ週末5日のギリシャ国民投票を控えていることから、積極的なポジション造成が手控えられそうだ。

◆ドル/円も123円前後での小動きとなりそうだ。但し、平均時給の低迷は米国でインフレ圧力がなかなか高まらない状況を表しており、ドルの上値の重さがより強く意識されそうだ。

昨日までの世界:ドル青田買い、裏切りに遭う

ドル/円は、前日の米ADP民間雇用統計の予想比上振れを受けて、米雇用統計も良好な結果になるとの期待感が高まったことや、ギリシャ情勢に関する市場の楽観も反映して、米雇用統計発表に向けて米中長期債利回りの小幅続伸と共に123円台前半から123.85円へ上昇した。もっとも、米雇用統計で非農業部門雇用者数が+22.3万人と市場予想(+23.3万人)を若干下回り、過去計数も合計6.0万人分下方修正され、更に平均時給が前年比+2.0%と市場予想(+2.3%)を大幅に下回ったことを受けて、発表後に米中長期債利回りの大幅低下と共に122.96円へ急反落した。但し引けにかけては123円台を回復、前日比で見ても発表後の下落は発表前の上昇分をほぼ帳消しにしただけとなっている。

ユーロ/ドルは、ギリシャ問題への楽観からか、ドイツ10年債利回りの上昇の方が米国分よりも大きかったことを反映して、米雇用統計前にむしろ強含みで推移し、1.10ドル台半ばから1.10ドル台後半へじり高となった。その後米雇用統計の予想比下振れを受けて1.1121ドルへ続伸したが、引けにかけては再び1.11ドルを割り込むなど、週末のギリシャ国民投票を控えて積極的なポジション造成が控えられたためか、非常に狭いレンジでの取引となった。
ユーロ/円は、欧州時間にかけてはドル/円とユーロ/ドルの両方が強含みとなったことから、136円丁度近辺から136.92円へ強含みとなった。もっとも、米雇用統計発表後は主にドル/円と共に136円台半ばへ反落した。

豪ドル/米ドルも、米雇用統計発表前の米ドル高傾向の中で0.76ドル台半ばから一時0.7590ドルと4月の安値である0.7533ドルに接近した。もっとも、米雇用統計発表後は0.76ドル台半ばへ反発、前日終値の水準をほぼ回復している。 豪ドル/円は、豪ドル/米ドルの影響をより強く受けた動きとなり、米雇用統計発表に向けて94円台前半から93.64円へ下落したが、引けにかけては94円丁度近辺へ反発して引けている。

きょうの高慢な偏見:賃金低迷のボディーブロー

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今週の経済指標カレンダー

今週の経済指標カレンダー

ドル/円は、米雇用統計発表という目先の一大イベントを通過し、かつ週末5日のギリシャ国民投票を控えていることから、積極的なポジション造成が手控えられそうで、ドル/円も123円前後での小動きとなりそうだ。但し、月次の振れが大きい雇用者数の小幅下振れはともかく、平均時給の伸びの低迷はコアPCEデフレータの低調とも整合的で、全体として米国でインフレ圧力がなかなか高まらない状況を表しており、目先利上げ早期化・急ピッチ化への期待が高まりにくくドルの上値の重さがより強く意識されそうだ。6月5日に125.86円の高値をつけて以降、上値と下値が共に切り下がる下降チャネル入りしており、地合いが着実に悪化している点も気になる。

ユーロ/ドルは、ギリシャ国民投票を控えて、最新の世論調査結果やギリシャ高官から妥協姿勢あるいは強硬姿勢が示されるようだと上下に振れる可能性はあるが、前日同様に積極的なポジション造成が手控えられそうだ。

豪ドル/米ドルも小動きとなりそうだが、安値圏で推移していることから、豪小売売上高が予想比下振れとなったり(市場予想は前月比+0.5%)、ギリシャ国民投票前に楽観論が高まり米中長期債利回りが上昇するようだと、直近安値である0.7533ドル下抜けを試す展開となりそうだ。

ポンド関連では英サービス業PMIが注目される。今週発表の英経済指標はまちまちだったが、1日発表の製造業PMIの悪化・予想比下振れを受けたポンド安が大きかった。昨日発表の英建設業PMIは58.1と前月および市場予想を上回ったにも拘らずポンドは上昇しなかったが、本日のサービス業PMIも予想比上振れとなれば、ポンドは反発に向かう可能性が高い。前月の56.5に対して市場では57.5への改善が予想されている。

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