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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
(毎営業日の朝更新)

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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。

2015年07月07日

RBAは豪ドル押し下げの好機を逃すか? 

<ポイント>
◆昨日は、週末5日のギリシャ国民投票結果を受けて東京時間早朝はリスク回避傾向が全般的に強まり、対主要通貨でドルと円が上昇、ドル/円は米中長期債利回り低下期待からくるドル安の方が勝り下落した。もっとも、欧米時間にかけては、ギリシャ財務相辞任を受けて歩み寄りへの期待感が高まったこともあって全般的に反発傾向となり、ギリシャのEU離脱懸念の高まりでも市場は比較的平静を保った形となった。

◆この間、原油価格の下落が大きかったことから、産油国通貨であるカナダドルが大幅安となった。

◆本日は、EU首脳会合でギリシャ国民投票結果に対してどのような対応を取るのかが注目される。ギリシャとの交渉が打ち切られればギリシャの経済的混迷の深まりと他国への悪影響、そしてユーロ圏・EU離脱の可能性の高まりが懸念され再びユーロ安、円高圧力が強まる可能性がある。

◆他方、EU側が譲歩しよりゆるい条件で追加支援合意となれば、短期的には混乱回避でユーロ下支え、円買い一服となろうが、長期的にはユーロ圏の財政規律悪化やドイツのユーロ圏・EU離れ(Dexit)の可能性も意識されユーロ安圧力となる面もあり、ユーロ大幅上昇は期待しにくい。

◆豪ドルは、鉄鉱石価格下落もあって下落基調が強まる中、RBA理事会で予想外の利下げが行われるかが注目される。



昨日までの世界:ギリシャ国民投票で急落後、一時全戻しも

ドル/円は、週末5日のギリシャ国民投票結果を受けて東京時間早朝はリスク回避傾向が全般的に強まり、対主要通貨でドルと円が上昇、ドル/円は米中長期債利回り低下期待からくるドル安の方が勝り一時121.70円へ下落した。もっとも、欧米時間にかけては、ギリシャ政府の強硬な交渉姿勢の代名詞的存在だったVaroufakis財務相が辞任を表明し、ギリシャ政府が譲歩姿勢に向かっているとの市場の期待に繋がったこともあって、米2年債利回りが小幅に持ち直しとなる中で買い戻し基調となり、一時122.93円と週明けの下落を全て回復する局面も見られた。但し、米株価の軟調を眺め、引けにかけては122円台半ばで上値重く推移している。
この間、米経済指標では6月ISM非製造業景況指数が56.0と前月から改善したものの市場予想を小幅に下回る結果となったが、ギリシャ問題が最大の焦点となる中で、市場の反応は殆どなかった。

ユーロ/ドルも同様に、週明けに1.11ドル丁度近辺から一時1.0970ドルへ下落した後、欧米時間にかけて1.11ドル手前まで持ち直すなど下落は限定的となった。週明けの下落も先週初にギリシャ政府が国民投票実施を決めた後の安値である1.0955ドルを下回っておらず、案外底堅いとみることもできる。
ユーロ/円も、週明けに136円台半ばから133.70円へ急落した後、一時136円台を回復する局面も見られたが、引けにかけては135円台半ばへ小幅軟化している。

豪ドル/米ドルも、週明けに0.75ドル台から一時0.7452ドルと年初来安値を更新した後、0.75ドル丁度近辺へ小反発している。
豪ドル/円は、週明けに92円台半ばから一時90.77円へ下落した後、NY時間にかけて92円台半ばへ全戻しした。引けにかけては92円丁度近辺へ小幅軟化している。

きょうの高慢な偏見:RBAは豪ドル押し下げの好機を逃すか?

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今週の経済指標カレンダー

今週の経済指標カレンダー

ドル/円は、EU首脳会合でギリシャ国民投票結果に対してどのような対応を取るのかが注目される。ギリシャとの交渉が打ち切られればギリシャの経済的混迷の深まりと他国への悪影響、そしてユーロ圏・EU離脱の可能性の高まりが懸念され、再び米中長期債利回りの低下とドル/円の下落圧力となる可能性がある。この点、ギリシャが新たな提案を行うこととなっているため、新提案内容とそれに対するEU側の評価が焦点となる。他方、EU側が譲歩しよりゆるい条件で追加支援合意となれば、短期的には更なる混乱の回避でドル/円の下支えとなりそうだ。
なお、市場の焦点はギリシャ問題だが、米国では5月貿易収支が発表予定で、-427.5億ドルと赤字額が拡大する予想となっている。赤字拡大は需給面で米ドル売り要因であるだけでなく、GDP成長率へのマイナス寄与が拡大し、利上げ開始期待を後退させる面もあり、ドル安要因であるため注目される。

ユーロ/ドルも、ギリシャとの交渉が打ち切られればギリシャの経済的混迷の深まりと他国への悪影響、そしてユーロ圏・EU離脱の可能性の高まりが懸念され、ユーロ安圧力となりそうだ。他方、EU側が譲歩しよりゆるい条件で追加支援合意となれば、短期的には混乱回避でユーロの下支えとなろうが、長期的にはユーロ圏の財政規律悪化やドイツのユーロ圏・EU離れ(Dexit)の可能性も意識され、ユーロ安圧力となる面もあり、ユーロ大幅上昇は期待しにくい。いずれにせよ、ユーロの反応は限定的なものに留まりそうだ。

豪ドル/米ドルも鉄鉱石価格が再び軟調となっており、豪ドル/米ドル相場も0.75ドルを割り込んで目先サポート水準がない中で、EUの対応次第では更なる売り圧力を受けそうだ。これに加えて、RBAがファンダメンタルズ悪化を背景に、殆ど織り込まれていない利下げを行うと、下落が加速する可能性がある。

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