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◆昨日は、欧州時間にギリシャ問題を巡るユーロ圏財務相会合・首脳会合に向けて米中長期債利回り低下・ドル高・円高が進行したが、NY時間入り後にはギリシャが8日までに新提案を策定し週末12日までの合意を目指す方向性が見えてきたことから反転したかたちとなった。
◆ドル/円は、米中長期債利回り低下と共に一時122.01円へ下落した後、122円台後半へV字回復しほぼ前日終値の水準に戻った。
◆ユーロ/ドルも、1.10ドル台半ばから1.0916ドルへ急落した後、同水準へ回復したが、引けにかけては再度1.10ドル丁度近辺へ軟化している。
◆本日は、本日提出されることとなったギリシャの新改革案と融資申請の内容とEU側の評価が注目され、報道を受けて上下する可能性があるが、最終決定は12日まで引き伸ばされる可能性が高く、為替市場も不安定な状況が続くと見られる。
◆その他、重要イベントとしては英予算案発表(20:30)とFOMC議事要旨(明方3:00)が注目される。英予算案では、従来以上に緊縮的な予算となる場合には、景気抑制・利上げ遅延リスクからポンド安要因となる一方、追加緊縮策なしで好況を受けた税収増を背景に今後の財政赤字が下方修正されたり、英国債発行額が従来計画よりも縮小されると、ポンド高要因となりそうだ。
◆6月FOMC議事要旨では、先行きの利上げについて積極的な議論となればドル高、逆に更に慎重な議論が支配的となる場合にはドル安要因となるが、いずれにせよ、今回は利上げ開始時期の本命である9月まで時間があることもあって、確定的な内容とはならずドルへの影響も限定的となりそうだ。
昨日までの世界:RBA、豪ドル押し下げの好機を逃したが
ドル/円は、欧州時間にギリシャ問題を巡るユーロ圏財務相会合・首脳会合に向けてギリシャが新たな提案を持参しなかったことが失望となり、米中長期債利回り低下・ドル高・円高が進行、ドル/円は、米中長期債利回り低下と共に一時122.01円へ下落した。もっとも、NY時間入り後にはギリシャが8日までに新提案を策定し週末12日までの合意を目指す方向性が見えてきたことから、米中長期債利回りや米株価と共に122円台後半へV字回復し、ほぼ前日終値の水準に戻った。
ユーロ/ドルは、欧州時間のドイツと米国の中長期債利回りの低下は概ね同程度だったが、原油価格などコモディティ価格の下落とドル高が同時に起きる状況下で1.10ドル台半ばから1.0916ドルへ急落した。NY時間には原油価格の反発などと共に下落前の水準へV字回復したが、引けにかけては再度1.10ドル丁度近辺へ軟化している。
ユーロ/円も、135円台半ばから一時133.51円と直近安値を少しずつ切り下げた。その後135円台半ばへV字回復したが、引けにかけては134円台半ばで推移している。」
豪ドル/米ドルは、RBA理事会で政策金利が据え置きとなり、豪ドル安の必要性に関する言及や明確な緩和バイアスを示さない姿勢も前回から維持されたことから、結果発表後に豪ドルが0.75ドル丁度手前へ強含みとなる局面もみられた。もっとも、欧州時間に入ると原油安などを眺め急落、一時0.7398ドルの安値をつけた。その後0.74ドル台後半を回復したが、NY時間引けにかけては0.74ドル台半ばへ小反落している。
豪ドル/円も、92円丁度前後から一時90.43円へ下落した後、91円台半ばへ反発したが、NY時間引けにかけては91円丁度手前まで小反落している。
きょうの高慢な偏見:RBAは豪ドル押し下げの好機を逃すか?
ドル/円は、本日提出されることとなったギリシャの新改革案と融資申請の内容とEU側の評価が注目され、報道を受けて米中長期債利回りと共に上下する可能性がある。但し、最終決定は12日まで引き伸ばされる可能性が高く、不安定な状況が続きそうだ。ドル/円はギリシャ国民投票結果後も下落が限定的で底堅さが示されているものの、6月5日の高値以降、下降チャネル入りが明確で上値の重さがより強く意識されており、日銀の追加緩和消極姿勢に変化がない限り、じり安傾向が続きそうだ。
なお、米6月FOMC議事要旨では、先行きのFF金利予測が小幅下方修正されハト派的と捉えられた会合終了時の声明文と経済予測発表と比べて、先行きの利上げについて積極的な議論となればドル高、逆に更に慎重な議論が支配的となる場合には、ドル安要因となるが、いずれにせよ、今回は利上げ開始時期の本命である9月まで時間があることもあって、確定的な内容とはならずドルへの影響も限定的となりそうだ。
ユーロ/ドルも、ギリシャのデフォルト、国民投票などでも急落はしていないが、6月後半以降じり安が続いている。ギリシャ問題を受けてドイツ10年債利回りの下落基調が続けば、再び下落トレンド入りする可能性が出てきたかもしれない。
豪ドル/米ドルも、昨日のRBA理事会では利下げが行われなかったが、鉄鉱石価格や原油価格の下落などを背景に年初来安値更新が続いており、特に米ドル高材料に反応して続落しやすい中、下値を探る展開が続きそうだ。
ポンドは、本日発表の英予算案が増税など追加的な緊縮策が含まれ従来以上に緊縮的な予算となる場合には、景気抑制・利上げ遅延リスクが意識されポンド安要因となる一方、追加的な緊縮策が取られない一方で好況を受けた税収増を背景に今後の財政赤字が下方修正されたり、英国債発行額が従来計画よりも縮小されると、ポンド高要因となりそうだ。ポンド/ドルは足許軟調だが、ユーロ/ポンドは下落基調となっており、年初来安値(6月末の0.6988ポンド)割れが視野に入っていることから、ユーロ売りポンド買い材料により反応しやすそうだ。
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