投資情報

山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
(毎営業日の朝更新)

[ プロフィール ]

シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。

2015年07月23日

利上げされざるでも大幅下落せざる?ZAR

<ポイント>
◆昨日は、原油などコモディティ価格が再び下落する中で、カナダドルや豪ドルなどコモディティ通貨の下落が目立った。対価として米ドルは上昇したが、円やユーロに対しては上昇していない。

◆ドル/円は、前日の黒田総裁の追加緩和消極発言の余韻が続き、123.57円へ続落した。但し米中古住宅販売の予想比上振れを受けたドル高を受けて、その後は一時124円台を回復した。

◆ポンドは、英BoE議事要旨でインフレ上振れリスクの高まりが指摘されたことから、利上げ開始早期化期待が高まり、上昇した。

◆NZドルは、本日早朝のRBNZ会合では市場予想通り政策金利が3.00%へ25bps引下げられ、今後の追加利下げも示唆されたが、想定ほど追加利下げに積極的ではないとの捉え方もあってNZドルショートの巻き戻しが一旦入り発表後に反発、81円台半ばから一時82.40円へ上昇して始まっている。

◆本日は、本邦6月通関貿易収支、英6月小売売上高、トルコ中銀金融政策決定、カナダ6月小売売上高、米新規失業保険申請件数および南ア準銀(SARB)金融政策決定などが予定されている。中ではSARB会合が注目で、予想中央値は25bps利上げだが据え置き予想も多く市場の見方は割れている。昨日発表の南アCPIが予想を下振れたため利上げ見送りでランド安のリスクがやや高まっている。但しインフレ率上昇傾向の中で今後の利上げの必要性は高く、今回見送りでもランド安は限定的となりそうだ。

◆ドル円は、日米重要材料が少ない中で124円前後での方向感ない推移が続きそうだ。

対コモディティ通貨限定の米ドル高

ドル/円は、前日の黒田総裁の追加緩和消極発言の余韻が続き、東京時間に一時123.57円へ続落した。但し、米6月中古住宅販売が549万件と市場予想を上振れしたことから米利回りと共にドルが上昇したことから、一時124円台を回復した。

ユーロ/ドルは、NY時間にかけてドイツ10年債利回りの低下傾向の中でじり安となったほか、米中古住宅販売の予想比上振れを受けた米ドル高もあって、1.09ドル台半ばから一時1.0870ドルへ軟化した。但し引けにかけては再び1.09ドル台を回復しており、強い方向性に欠ける展開となった。
ユーロ/円も、NY時間入りにかけて135円台半ばから一時134.85円へ軟化した後、引けにかけては再び135円台半ばへ反発しており、結果的に横ばい圏内の動きとなった。

豪ドル/米ドルは、豪2QコアCPI(刈り込み平均と加重中央値の平均)の予想比上振れ(市場予想は前年比+2.2%、実績は+2.3%)を受けて一瞬上昇する局面があったがすぐに大幅反落し0.74ドル台前半から一時0.7370ドルへ急落し前日の反発を帳消しにした。その後再び0.74ドル台を回復する局面も見られたが、NY時間にかけては原油などコモディティ安や米ドル高と共に反落、し0.73ドル台後半で引けている。
豪ドル/円も豪ドル/米ドル相場とほぼ同様の動きとなり、92円丁度近辺から91円台半ばへ軟化した。

ポンドは、英BoE7月分議事要旨で、据え置き決定は9対0で利上げ票はなかったが、多くの委員がインフレ上振れリスクの高まりを指摘していたことが判明しタカ派的な内容と捉えられたことから、利上げ開始早期化期待が高まり上昇、対ドルで1.55ドル台半ばから一時1.5647ドルへ、対円では192円台半ばから一時193.98円へ上昇した。

NZドルは本日早朝のRBNZ会合を控えていたこともあり、昨日は他のコモディティ通貨と共に下落していた。RBNZ会合では市場予想通り政策金利が3.00%へ25bps引下げられ、今後の追加利下げも示唆されたが、想定ほど追加利下げに積極的ではないとの捉え方もあってNZドルショートの巻き戻しが一旦入り発表後に反発、81円台半ばから一時82.40円へ上昇して始まっている。

利上げされざるでも大幅下落せざる?ZAR

最新のFX戦略ウィークリーはこちら

今週の経済指標カレンダー

今週の経済指標カレンダー

ドル/円は、米利上げ開始に向けたドル高シナリオの一方、日銀の追加緩和期待の後退が円安を限定し、かつ124円台半ばでは政府・日銀の円安牽制リスクが意識されることから、本日も日米重要材料が少ない中で124円前後での方向感ない推移が続きそうだ。なお、本邦6月通関貿易収支は季節調整前では458億円の小幅黒字転化が予想されているが、季節調整済みでは-2600億円へ赤字が拡大する予想となっており、為替市場は反応しにくいだろう。

ユーロ/ドルも欧米材料が少なく、21日の大幅反発で一旦下落トレンドが一服し、1.08ドルでの底堅さが意識されてきていることから、1.09ドル台前半を中心とした推移となりそうだ。

豪ドル/米ドルは、目先はコモディティ安・米ドル高が市場のテーマとなりそうで、7月20日の年初来安値(0.7328ドル)を睨んだ軟調な展開が続きそうだ。

南アランド関連では昨日の南アCPIに続きSARB金融政策会合が注目だ(結果発表時刻は未定だが、22:20~25分発表が多い)。予想中央値は25bps利上げだが、5.75%での据え置き予想も多く市場の見方は割れている。もっとも、昨日のCPIが総合(前年比+4.7%)、コア(+5.5%)といずれも市場予想を大きく下回ったことから、利上げ見送りリスクを意識した展開となりそうで、ランド安リスクに注意したい。但し、インフレ率上昇傾向は変わっていないと見られる中で今後の利上げの必要性は高く、今回見送りでもランド安は限定的となりそうだ。市場では来年7-9月期に向けて政策金利が6.75%へ100bps程度引き上げられると予想されている。因みに、前回5月21日の会合では、政策委員6名中、4名が据え置き、2名が25bps利上げを主張していた。

(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。

マネックスレポート一覧

マネックス証券に口座をお持ちでない方はこちら

  • 口座開設・資料請求はこちら(無料)

ご留意いただきたい事項

マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。

当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。