<ポイント>
◆昨日は、中国株価の急落に端を発した世界的な株安やコモディティ安を受けて、米中長期債利回りが大きく低下したことから、ドルが対円、対ユーロで大きく下落したのが特徴的だった一方、カナダドル、NZドルや豪ドルといったコモディティ安の影響を受けやすい通貨の下落はあまりみられなかった。
◆ドル/円は米耐久財受注の予想比上振れには反応せず続落、一時123.01円の安値をつけた。
◆本日は英2QGDP速報値、米S&Pケースシラー住宅価格および消費者信頼感指数、そして翌朝(6:00)にWheeler・RBNZ総裁発言が予定されている。ポンドは英2QGDPが市場予想以上に加速すれば下支え要因だが、前年比では加速は予想されていないことから、多少の予想比上振れではポンドの上昇基調回帰には不十分かもしれない。
◆ドル/円は、中国株安やコモディティ安の持続性次第では123円割れもありそうだが、明日の米FOMCを控えて積極的なポジション造成は手控えられそうで、123円台前半での推移が続きそうだ。また、昨日の急落を受けて中国当局が株価・景気対策を発表する場合の反発リスクにも注意したい。但し、一度失敗した後であり、かつ前回も効果発揮まで時間がかかったため、今回の株価押し上げは更に困難となりそうだ。
中国株安シーズン2?
ドル/円は、中国株価の8.5%の急落に端を発した世界的な株安やコモディティ安を受けて、米中長期債利回りが大きく低下したことから、NY時間にかけて下落基調となり、一時123.01円の安値をつけた。但し引けにかけては123円台前半へ小反発している。この間、米耐久財受注は総合が前月比+3.4%、除く輸送が+0.8%、コア資本財受注が+0.9%といずれも市場予想を上回ったが、前月分が大きく下方修正されていたことから、ドル買いは殆ど見られずドル下落を食い止める材料とはならなかった。
ユーロ/ドルは、中国株価の大幅下落と米中長期債利回りの低下を受けたドル安の中で、欧州時間入りにかけて1.10ドル丁度近辺から急上昇を始め、その後発表されたドイツIfo景況感指数も108.0と前月および市場予想を上回ったこともあって続伸、NY時間にかけて一時1.1129ドルの高値をつけた。この間、欧州株安にも拘らずドイツ10年債利回りの低下が小幅に留まったことも、米利回り低下の影響を相対的に大きくする結果となった。
ユーロ/円も、欧州時間入りのユーロ急上昇を受けて136円丁度近辺から一時137.10円へ上昇した。ユーロと円は対ドルで共に上昇したが、ユーロの方が上昇幅が大きかったためだ。
豪ドル/米ドルは、中国株安、原油など商品市況安および米利回り低下を受けた米ドル安などの影響を殆ど受けず、むしろNY時間にかけて年初来安値(24日につけた0.7260ドル)から0.73ドル台へ小幅反発した。但し引けに欠けては再び年初来安値近辺へ反落するなど、上値の重さも示したかたちとなっている。
豪ドル/円は、米ドル/円の下落に引っ張られるかたちで、90円丁度近辺からNY時間引けにかけて89.53円の安値をつけ、7月9日につけた年初来安値(89.16円)に更に迫るかたちとなっている。
きょうの高慢な偏見:中国当局の株価対策の効果は?
ドル/円は中国株安やコモディティ安の持続性次第では123円割れもありそうだが、明日の米FOMCを控えて積極的なポジション造成は手控えられそうで、123円台前半での推移が続きそうだ。また、昨日の株価急落を受けて中国当局が株価や景気対策を発表する可能性があり、そうした場合の中国株価、米中長期債利回りの急反発からくるドル/円押し上げリスクにも注意したい。但し、一度失敗した後であり、かつ前回も効果発揮まで時間がかかったことから、今回は押し上げが更に困難となるリスクもある。なお、本日は米国でS&Pケースシラー住宅価格および消費者信頼感指数の発表が予定されているが、住宅価格は前年比上昇率の高まりが予想されている一方、消費者信頼感は小幅悪化が予想されており、経済指標発表からはドルに強い方向性は出なさそうだ。
ユーロ/ドルは足許上昇しているが強い方向感はなく、続伸しても7月10日の高値である1.1216ドルが上値として意識され、結果として1.08-1.12ドルのレンジ観が形成されることになりそうだ。
豪ドル/米ドルは、昨日は反応が限定的だったが、引き続き金、銅、原油などコモディティ価格動向を睨んだ展開が続きそうで、コモディティ価格が下げ止まらなければ0.72ドル丁度方向への下落となりそうだ。
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