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◆昨日は、中国株価が大幅続落の後反発し、原油などコモディティ価格も反発したことから、NZドル、カナダドル、豪ドルなどのコモディティ通貨の上昇が大きくなった。つれてブラジルレアルやトルコリラなどリスク回避傾向の中で対ドルで最安値を更新していた通貨も小反発した。
◆ドル/円も、中国株やコモディティ価格の反発を受けた米中長期債利回りの持ち直しと共に123円台後半へ反発したが、米経済指標の予想比下振れに上値を抑えられたかたちとなった。
◆本日は米6月中古住宅販売仮契約、ブラジル中銀金融政策(14.25%へ50bps引上げがコンセンサス)および米FOMCが予定されているが、最大の注目は米FOMCだ。今回政策変更は予想されていないものの、次回9月会合での利上げを明確に示唆する内容であれば、十分に織り込まれていないことから、米2年債利回りの上昇とドル高に繋がりそうだ。他方で、声明文で足許の中国景気減速・株安や商品市況安に対する懸念が示されるようだと、早期利上げ期待が後退しドル安に繋がりそうだ。
◆ドル/円は、タカ派ケースだと再び124円を試す一方、ハト派ケースであれば123円割れリスクが高まる。
昨日までの世界:コモディティ通貨が反発、ただし持続的か?
ドル/円は、中国株価が大幅続落の後反発し、原油などコモディティ価格も反発したことを受けて、アジア時間に米中長期債利回りの持ち直しと共に123円台半ばへ上昇、NY時間入りにかけて一時123.79円へ続伸した。もっとも、その後発表の米経済指標でS&Pケースシラー住宅価格が前年比+4.9%、消費者信頼感指数が90.9といずれも前月および市場予想を下回ったことから上値を抑えられ、123円台半ばへ小反落している。
ユーロ/ドルは、個別材料はなかったが米利回りの上昇傾向を受けて欧州時間にかけてじり安となり、1.11ドル丁度前後から一時1.1022ドルへ下落した。但しその後は米経済指標の下振れもあって、1.10ドル台半ばへ小反発した。
ユーロ/円は、ドル中心の動きの中でユーロと円がいずれも対ドルで同程度の動きとなったことから、概ね136円台後半での方向感のない推移となった。
豪ドル/米ドルは、アジア時間に中国株価が大幅続落で寄り付いた後に反発し、その後NY時間にかけては原油や銅などコモディティ価格も反発したことから、カナダドルやNZドルと共に反発基調となり、0.72ドル台後半から0.7350ドルへ上昇した。なお、NZドルは本日早朝にWheeler・RBNZ総裁が追加緩和の可能性を示唆したものの、大幅利下げを正当化するほどNZ経済は弱くない、とも述べたことから、大幅追加利下げに対する期待が後退し、大幅続伸している。
豪ドル/円も、アジア時間には一時89.34円へ小幅続落し年初来安値に迫ったものの、その後は大幅反発基調となり、90.83円へ大幅上昇した。
きょうの高慢な偏見:利上げ開始前哨戦か、玉虫色か
ドル/円の最大の注目は米FOMCで、今回政策変更は予想されていないものの、次回9月会合での利上げを明確に示唆する内容であれば、十分に織り込まれていないことから、米2年債利回りの上昇と共にドル高に繋がり、再び124円を試しそうだ。他方で、声明文で足許の中国景気減速・株安や商品市況安に対する懸念が示されるようだと、早期利上げ期待がやや後退し123円割れのリスクが高まる。
ユーロ/ドルは強い方向感はなく、7月27日の高値である1.1129ドルが目先の上値として意識されそうだ。FOMCがハト派的な内容となる場合には上抜けを試す一方、タカ派的な場合は続落し1.08-1.12ドルのレンジ観が強まりそうだ。
豪ドル/米ドルは、米FOMCと中国株価や金、銅、原油などコモディティ価格動向を睨んだ展開が続きそうで、FOMCがタカ派的な内容となったり中国株価やコモディティ価格が再び下落に転じれば、0.72ドル丁度方向を目指す展開となりそうだ。
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