<ポイント>
◆昨日は、米2QGDPへの期待感から発表に向けてドルが上昇したが、発表後はドル利食いから反落した。ドル/円は一時124.58円へ上昇した。
◆ドル高に加えて、中国株安を受けた金や銅などコモディティ価格の下落もあって、NZドル、南アランドなど高金利コモディティ通貨が下落した。
◆本日は、本邦コアCPI、豪民間部門与信、ユーロ圏7月HICP速報値、米シカゴPMI、米2Q雇用コスト指数、米7月ミシガン大消費者信頼感確報などが予定されているが、米経済指標を受けてドルがどの程度続伸できるかが焦点だが、中国株安とそれを受けたコモディティ安が続くのかも注目される。
◆ドル/円は、124円台半ばで一旦上値を抑えられているが、米雇用コスト指数の上振れなどで再び125円へトライできるかが焦点となりそうだ。
◆豪ドル/米ドルは、中国株価やコモディティ価格が続落するようだと、他のコモディティ通貨へのつれ安もあって年初来安値更新が続きそうだ。
昨日までの世界:噂で買って、事実で売る
ドル/円は、今週のドルじり高基調が続く中で、米2QGDPへの期待感から発表に向けて既にアジア時間からドルが続伸傾向となった。その後発表された米2QGDPは、前期比年率+2.3%と市場予想(+2.5%)を若干下回ったものの概ね予想範囲内で、かつ前期分が-0.2%から+0.6%へ大幅上昇修正された点も好感され、発表後に一時124.58円へ上昇した。もっとも、それまで既にドル買いポジションが造成されていたことからドル利食いが優勢となったことから反落、とは言え124円台は維持して引けている。
ユーロ/ドルも、目先ユーロ圏関連材料が焦点から外れる中で、米ドルの全般的な動きの影響を受けやすく、米ドル高基調を受けてユーロ安ドル高傾向とのあり、1.09ドル台後半からNY時間にかけて1.0893ドルへ続落した。
ユーロ/円は、対ドルでのユーロ安の方が円安よりも大きかったことから、136円台前半から135.54円へ軟化した。
豪ドル/米ドルは、中国株安や金、銅などコモディティ価格の下落の悪影響はあまり受けず、どちらかというと米ドル高傾向を受けてじり安となり、一時0.7255ドルと年初来安値を更新した。むしろこうした中国株価やコモディティ価格の影響を受けたのはNZドルや南アランドで、米ドル高傾向もあって対米ドルで1%以上下落した。
豪ドル/円は、豪ドルと円の対米ドルでの下落がほぼ同程度であったことから、90円台半ばでの横ばい圏内の動きだった。
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ドル/円は、米利上げ期待を背景としたドルじり高基調はあるものの、昨晩も丁度黒田総裁が円安牽制発言を行った124円台半ばで上値を抑えられたかたちとなっており、明確なドル高材料が追加的に出てこないと125円に向けた上昇は難しいかもしれない。本邦当局からの円安牽制リスクも意識されやすい。本日、米国ではシカゴPMI、2Q雇用コスト指数、7月ミシガン大消費者信頼感確報などが予定されているが、中では物価・賃金指標の一つである雇用コスト指数が上振れすると利上げ開始期待につながり易いため注目度が高い。
他方、日本でもコアCPI(除く生鮮食品)発表が予定されており、前月の前年比+0.1%からゼロへ鈍化する見込みで、これだけをみれば追加緩和の必要性が高まり円安に繋がりそうだ。もっとも、足許日銀は除く生鮮食品だけでなく、除く生鮮食品・エネルギーなど、エネルギー価格の影響を受けにくいCPIに焦点を移しつつあり、除く食品・エネルギーは前年比+0.4%で横這いの見通しとなっていることから、日銀からみて追加緩和の必要性は必ずしも高まっておらず、円相場への影響は限定的となりそうだ。
ユーロ/ドルは引き続き1.08-1.12ドルのレンジの中で、米ドルの動向に左右される展開が続きそうだ。
ユーロ圏では本日、7月分HICP速報が発表されるが、昨日発表のドイツ分も前月と同じ+0.1%となったことから、市場予想の前年比+0.2%と前月から横這いの可能性が高そうで、もともとECBの追加緩和が目先焦点となっていない中で、ユーロへの影響は限定的となりそうだ。
豪ドル/米ドルは、じり安基調が続いている中で、昨日の中国株安を受けた金や銅などのコモディティ価格の下落の影響がどの程度出るかが注目で、中国株価やコモディティ価格が続落となるようだと、他のコモディティ通貨への連れ安もあって年初来安値更新が続き、節目となる0.72ドル割れを目指す展開となりそうだ。
※次回の更新は8月10日(月)の予定です。
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