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山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
(毎営業日の朝更新)

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シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。
(8月10日収録)
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2015年08月14日

お中(国)元シーズン終了?

<ポイント>

◆昨日は、人民元基準値の切下げが続いたが、下落幅が徐々に小さくなっていることに加えて、人民銀が記者会見を開き、必要な調整は概ね終了し、輸出押上げのための元切下げを否定したことなどから安心感が広がり、豪ドルやアジア通貨および資源価格が一時上昇した。もっとも、欧州時間には原油安もあって豪ドルなどは再び下落した。

◆ドル/円は、人民銀記者会見で更なる大幅切下げ懸念が後退したことを受けて、米利回りが上昇したことから、124.30円近辺からじり高に向かい、124円台後半へ上昇、米小売売上高(総合)が予想通り高い伸びだったこともあり一時124.63円へ小幅続伸した。

◆本日も引き続き、人民元基準相場が前日よりも元の下落率が縮小するかがまず焦点となるほか、Kent・RBA総裁補発言、ギリシャ支援問題に関するユーログループ会合、ユーロ圏2QGDP、米コアPPI、米鉱工業生産、米ミシガン大消費者信頼感速報などが予定されている。

◆人民元については昨日の人民銀記者会見で今後の大幅元安懸念が後退したが豪ドルやアジア通貨反発は一時的に留まっており、アジア通貨・コモディティ通貨のつれ安が明確に終了するには人民元基準値の上昇が必要とみられる。人民元基準値が再び1%程度下落する場合、ドル/円は再び125円乗せを窺う展開となりそうだ。

◆ユーロ圏GDPの回復継続が確認され、更に人民元が下落する場合には、ユーロの避難通貨としての位置づけが強まり対ドル、対円で上昇しそうだ。

昨日までの世界:人民銀の市場安定化効果は長続きせず

ドル/は、人民元基準値の切下げが続いたが、下落幅が徐々に小さくなっていることに加えて、人民銀が記者会見を開き、必要な調整は概ね終了し、輸出押上げのための元切下げを否定したことなどから安心感が広がり、米利回りが上昇したことから、124.30円近辺からじり高に向かい、124円台後半へ上昇した。NY時間入り後に発表された米小売売上高では、通常注目されるコア(除く自動車、ガソリン、建築資材)は前月比+0.3%と市場予想を下回ったが、総合(+0.6%)の予想通りながら高い伸びが確認されたことが好感されてか、一時124.63円へ小幅続伸した。但し引けにかけては前日の下落時にドルを売れなかった投資家の売りが持ち込まれたためか上値重く推移し、124円台前半へ軟化した。

ユーロ/ドルは、人民元に関する懸念後退から、避難通貨としてのユーロの位置づけが弱まったとみられ、1.11ドル台半ばから1.11ドル手前まで軟化、更に米小売売上高の高い伸びを評価したドル高により一時1.1080ドルへ続落した。但しその後はドル/円と同様にドル売りが優勢となり、再び1.11ドル台半ばへ反発して引けている。

ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に、138円台後半からNY時間にかけて138.08円へ下落したが、引けにかけては一時138.86円へ反発した。

豪ドル/米ドルは、人民元基準値が3日続落となったことを受けて一時的に下落したものの、下落幅が徐々に縮小していることやその後の人民銀の記者会見を受けて0.74ドル越えへ強含みとなる局面も見られた。もっとも、上昇は一時的に留まり、むしろその後原油価格が大幅に下落したことや米小売売上高の高い伸びを受けた米ドル高もあって反落し、0.7323ドルの安値をつけた。但し引けにかけては米ドル売りから0.73ドル台半ばへ小反発している。

豪ドル/円も同様に、アジア時間に一時92円台乗せへ強含みとなった後、NY時間にかけて91円台前半へ大幅反落したが、引けにかけては91円台半ばを回復した。

きょうの高慢な偏見:お中(国)元シーズン終了?

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今週の経済指標カレンダー

今週の経済指標カレンダー

ドル/は、本日も引き続き、人民元基準相場が前日よりも元の下落率が縮小するかがまず焦点となる。人民元については昨日の人民銀記者会見で今後の大幅元安懸念が後退したが、豪ドルやアジア通貨反発は一時的に留まっており、アジア通貨・コモディティ通貨のつれ安が明確に終了するには人民元基準値の上昇が必要とみられる。人民元基準値が再び1%程度下落する場合、ドル/円は再び125円乗せを窺う展開となりそうだ(人民元切下げのインプリケーションについては12日付投資戦略テーマ「人民元切下げ:『つれ安』のアナトミー」を参照)。

その他米国では米コアPPI、米鉱工業生産、米ミシガン大消費者信頼感速報などが予定されているが、米国材料ではドルの方向感が出なさそうだ。鉱工業生産や消費者信頼感は回復が予想されておりドル下支え材料となる一方、川上のインフレ圧力を示すコアPPIは前年比+0.5%と伸び鈍化が予想されており、低インフレ長期化が早期利上げ開始シナリオの障害となるリスクがある状況だ。

ユーロ/ドルは、本日発表予定のユーロ圏2QGDPでは前期比+0.4%と回復ペース継続が確認される見込みだが、これに加えて人民元基準値が前日と同程度に下落する場合には、人民元切下げ後にみられているユーロの避難通貨としての位置づけが強まり、ユーロは対ドル、対円で上昇しそうだ。

豪ドル/米ドルは、人民元基準値および銅や原油価格などのコモディティ価格動向を睨んだ動きとなり、元切下げとコモディティ価格の下落が継続する場合には、再び年初来安値方向へ下落基調に戻りそうだ。




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