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◆昨日は、中国株価の大幅下落を受けて豪ドルが下落した一方、NZドルは世界乳製品取引オークション価格の大幅反発を受けて上昇、ポンドも英CPIが市場予想を上回ったことが好感されおおはば上昇したのが特徴的だった。
◆この間、ドル/円は概ね前日と同じ124円台前半の狭いレンジ内での横這い推移となった。
◆本日は、本邦通関貿易収支、南アCPI、米コアCPIおよび7月FOMC議事要旨の発表が予定されている。中では米コアCPIと議事要旨が注目で、FOMCは次回9月利上げに向けて前向きな姿勢が示される場合にはドル買いとなる一方、コアCPIでは前月と同じ伸びが維持できず鈍化する場合には利上げ期待が後退しドル安となる。なお、前回FOMCは中国人民元切下げ前であることから、やや古い情報という面もあり、市場の反応は限定的となるかもしれない。
昨日までの世界:中国株安で豪ドル安
ドル/円は、124.40円で推移していたが、人民元基準値は僅かながら3日続伸となった一方で中国株価が引けにかけて大きく下落すると、リスク回避的な米利回り低下が意識され、124.18円の日中安値をつけた。但しその後NY時間に発表された米住宅着工件数が120.6万件と市場予想を上回り約8年振り高水準に達したことが伝わると120.40円近辺へ持ち直し、結局狭いレンジ内で横ばい圏内の推移に留まった。なお、同時発表の住宅建設許可件数は前月の急上昇の反動が想定以上に大きく市場予想を下振れしたが、市場はよい結果の方を注目したようだ。
ユーロ/ドルは、米住宅着工の予想比上振れを受けた米ドル高により続落し、一時1.1017ドルの安値をつけた。下落は4日連続となるが、引き続き1.08-1.12ドルのレンジ内での方向感のない取引に留まっている。
ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に、137円台後半からNY時間にかけて下落し一時137.06円の安値をつけた。
豪ドル/米ドルは、中国株価が上海市場の引けにかけて大幅下落(6%)したことを受けて下落した。その後、米住宅着工件数が市場予想を上回ったことから、米ドル高も下押し要因となり、一時0.7320ドルの安値をつけた。RBA議事要旨では、緩和策継続が適切とされたが、追加緩和に繋がるような議論はみられず、豪ドルについても下落が資源投資主導経済からの移行を後押ししているとしたが、既発表の声明文と同様で通貨安誘導姿勢の強まりはみられなかったことから、発表後に豪ドルが小幅に強含みとなる場面があった。
この間、欧米時間に原油価格が反発したほか、NZドルが世界乳製品取引オークション価格の大幅反発(前回比+14.8%)を受けて上昇したが、豪ドルはあまりつれ高とはならなかった。
豪ドル/円は、中国株安を受けた欧州時間の下落が大きく、91円台後半から一時91.09円の安値をつけた。
きょうの高慢な偏見:元安は再開するか?
ドル/円はこのところ124円を中心とするレンジ感が強まっているが、本日は引き続き人民元基準相場が再び元安となるか、および米国のコアCPIと議事要旨が注目される。昨日まで3日連続で元高方向に設定された元基準相場だが、プラス幅は縮小が続き昨日はほぼゼロだった。再び元安になると、昨日の中国株価の大幅下落もあって、円のつれ安がみられそうだ。なお、昨日の人民元スポット相場の動きをみると、当初は元安が進んだが引けにかけて株安にも拘らず元高となっており、当局の元安警戒・阻止姿勢が垣間見られている。
また、FOMC議事要旨で次回9月利上げに向けて前向きな議論がみられる場合にはドル買いとなる。但し、米コアCPIでは最近の原油安の中で、前月と同じ伸びが維持できず鈍化する場合には利上げ期待が後退しドル安圧力となる。全体としては、強弱両材料が交錯し、引き続き124円台でのもみ合い推移となりそうだ。なお、前回FOMCは中国人民元切下げ前であることから、そこでの議論はやや古い情報という面もあり、市場の反応は限定的となるかもしれない。
ユーロ/ドルも個別材料が少ない中で、1.08-1.12ドルのやや広いレンジ内での推移が続きそうだ。
豪ドル/米ドルは、中国株価と人民元動向が注目で、中国株価が続落したり、人民元が基準値、スポット相場共に下落に向かう場合には、再び0.73ドル割れを試す展開となりそうだ。
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