<ポイント>
◆昨日は、コモディティ価格は小反発をみせたにも拘らず、中国株価の下落が続く中で世界景気減速懸念が欧米株安や中長期債利回りの低下につながる、リスクオフ的な状況となったが、為替市場ではドル安となり、特にユーロ/ドルの上昇が大きかった。
◆ドル/円も、米経済指標の予想比上振れにも拘らず、NY時間に大きく下落し一時123.33円の安値をつけた。
◆また、連立交渉失敗を受けた再選挙見通しの高まりや国内でのテロ多発を受けてトルコリラが大幅続落、対円で一時41.19円の安値をつけた。
◆本日は、中国財新PMI製造業速報、ユーロ圏PMI速報、カナダコアCPIおよび小売売上高が予定されているが、中では中国PMIが相対的に注目度が高い。中国株価が続落したり、中国PMIが予想ほどに改善しない場合には、豪ドルが連動して再び下落に向かいそうだ。
◆ドル/円は、中国の景気減速懸念を背景に米中株安と米利回り低下が続くと、123円割れもありそうだ。但し、週末を控えて中国が何らかの景気対策を発表するリスクも念頭に入れておきたい。
昨日までの世界:世界景気減速懸念でドル安・・・
ドル/円は、コモディティ価格は小反発をみせたにも拘らず、中国株価の下落が続く中で世界景気減速懸念が欧米株安や中長期債利回りの低下につながるリスクオフ的な状況となる中で、米長期債利回りの低下と共にドル安となり、NY時間に大きく下落し一時123.33円の安値をつけた。
この間、米経済指標では、中古住宅販売件数が559万件と市場予想を上回り2007年2月以来の高水準、フィラデルフィア連銀製造業サーベイも8.3と前月および市場予想を上回るなど市場予想を上回っており、米2年債利回りも低下していない。米長期債利回りの低下や米株安は、米利上げ懸念あるいは米景気鈍化懸念ではなく、やはり中国景気への懸念が背景にあるようだ。
ユーロ/ドルは、中国株安や欧米株価の下落の中で、ドイツ10年債利回りは米国分と同程度低下したにも拘らず、為替市場における全般的なドル安傾向の中で大きく上昇し、1.11ドル台前半から一時1.1245ドルと、7月以降の1.08-1.12ドルのレンジ上限を若干上抜けしたかたちとなっている。この間、ギリシャではTsipras首相が、昨日ESM理事会が3年間で細大860億ユーロの対ギリシャ第3次支援を承認した矢先、9月20日に総選挙を実施すると発表したが、ユーロはびくともせず上昇を続けた。
ユーロ/円は、ドル/円の下落よりもユーロ/ドルの上昇の方が大きかったことから上昇方向となり、138円丁度近辺から138.73円の高値をつけた。
豪ドル/米ドルは、中国株価の下落や欧州時間に原油価格が続落し安値をつけていたことから、一時0.7285ドルへ下落した。もっとも、その後は米ドル安の展開となり、0.73ドル台半ばへ急反発、結局元の水準に戻ったかたちとなった。
豪ドル/円も、欧州時間に91円台から一時90.25円へ下落した。その後反発したが、米ドル/円が下落基調の中で戻りは弱く、90円台半ばで引けている。
きょうの高慢な偏見:中国は世界株価下支えに動くか?
ドル/円は、中国の景気減速懸念を背景に米中の株安および米利回り低下が続くと、123円割れもありそうだ。他方、中国の景気減速懸念が高まる中で、本日あるいは週末中に何らかの追加的な景気対策が発表される可能性もあり、そうした期待が高まる場合には下支えされるかもしれない。
ユーロ/ドルは、ユーロ圏各種PMI速報が発表予定で、総合は前月の53.9から53.7へ小幅悪化の予想となっており、どちらかといえばユーロ安材料だが、足許はリスクオフ的な環境の中でユーロが相対的に買われやすい地合いとなっており、悪い経済指標でもユーロは底堅さが続くかもしれない。
豪ドル/米ドルは、中国財新PMI製造業速報および中国株価に直接的に反応する度合いが強そうで、中国株価が下落したり、PMIが市場予想(48.2、前月47.8)ほどに改善しない場合は、中国景気減速懸念が更に強まり、原油や銅などのコモディティ価格の下落も通じて豪ドルが下落しそうだ。対米ドルでは再び年初来安値(0.7216ドル)が視野に入りそうだ。
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