投資情報

山本 雅文「FX戦略デイリー」

シニア・ストラテジスト 山本 雅文が国内外のファンダメンタルズ分析を基に、主に米ドル、ユーロ、豪ドル相場の先行き見通しを分かりやすく、かつ深く鋭く分析し予想するレポートです。
(毎営業日の朝更新)

[ プロフィール ]

シニア・ストラテジスト 山本 雅文のレポートは2015年10月30日をもって更新は終了しました。これまでご愛読いただきありがとうございました。
(8月24日収録)
新しいウィンドウに表示します【動画】山本雅文の今週のFX市場展望

原則、毎週月曜日開催のセミナーの収録版(オンデマンド)を掲載しています。

※スマートフォンでご視聴の場合、『V-CUBE』アプリケーションをダウンロードしてください。
新しいウィンドウに表示します視聴環境の確認はこちら
新しいウィンドウに表示しますアプリケーションのダウンロードはこちら

2015年08月26日

ビハインド・ザ・株

<ポイント>

◆昨日は、中国人民銀が欧州時間入り後に緊急金融緩和を発表したことを好感し、欧米株価が上昇して始まり、米中長期債利回りが上昇したことから、ドルが対円や対ユーロで上昇した。但し引けにかけて米株価が急反落すると、米利回りの反落と共にドル上昇幅が縮小した。

◆ドル/円は、118円台で始まった後、中国株価の一時的持ち直しを眺め120円台へ上昇した。その後引けにかけての中国株価の反落で118円台に一旦戻った後、中国緊急緩和を好感して一時120.40円へ反発した。但し引けにかけては米株と米利回りの反落を受けて再び118円台へ戻すなど、「荒い」(麻生財務相の言葉)動きが続いている。

◆本日は、StevensRBA総裁発言、PraetECB理事発言、米耐久財受注、DudleyNNY連銀総裁発言などが予定されているが、引き続き中国株価動向と世界株価の反応に左右されやすい展開が続きそうだ。中国株価が緊急緩和でも明確に上昇しない場合、中国当局の対応が後手に回っている印象を強め(ビハインド・ザ・カーブ)、ドル/円や豪ドルの下落、ユーロ/ドルの上昇に繋がりそうだ。

昨日までの世界:中国緊急緩和の効果は一時的に

ドル/は、アジア時間は118円台で始まった後、中国株価の一時的持ち直しを眺め120円台へ上昇した。その後引けにかけての中国株価が反落し3,000ポイントを割り込んで引けたことから118円台に一旦反落したが、欧州時間入り後に中国人民銀が緊急金融緩和を発表、1年物貸出金利および預金金利を25bps引下げ各々4.60%、1.75%とし、預金準備率も全銀行を対象に0.50%ポイント引下げたことを好感して反発し一時120.40円の高値をつけた。但し、引けにかけては米株と米利回りの反落を受けて再び118円台へ戻すなど、振れの大きい展開が続いている。

昨日、東京時間には麻生財務相が為替市場の動きは急というより荒い、と表現し、自身は米財務当局と連絡を取っておらず、現時点ではG7G20での対応の段階ではない、と述べるなど、あまり強い警戒姿勢を示さなかった。今後115円方向へ円高が進行する場合に、こうした表現がどう変化してくるかが注目となる。

ユーロ/ドルは、1.16ドル台でスタートした後、アジア時間の中国株価上昇を受けて1.15ドル台前半へ軟化、そして中国緊急緩和を受けてユーロの避難通貨としての位置づけが弱まり続落し、一時1.1397ドルの安値をつけた。但し引けにかけては、米株安と共に米利回りが反落したことから、1.15ドル台へ反発して引けている。ConstancioECB副総裁はユーロ高そのものには言及しなかった模様だが、インフレ見通しに対するリスクが大きくなれば追加措置を取る、量的緩和はオープンエンドとし、来年9月の終了後も続ける可能性を示唆したことも、ユーロ上値抑制要因となったかもしれない。この間、ドイツ10年債利回りの方が米10年債利回りよりも大きく上昇し、金利差の面ではユーロ高ドル安圧力だったが、中国関連材料の方が重視されたかたちとなった。

ユーロ/円は、アジア時間に中国株価の反発を眺めて137円台から138円台半ばへ上昇する局面も見られたが、その後はユーロ/ドルとほぼ同様に下落、136.49円の安値をつけた。

豪ドル/米ドルは米ドル/円と類似した動きとなり、アジア時間に中国株価と共に0.71ドル台半ばから0.72ドル台乗せへ強含み、その後小反落したあと中国緊急緩和を受けて0.7250ドルの高値をつけた。但しNY時間引けにかけては米株安もあって再度下落し、0.7123ドルの安値をつけた。

豪ドル/円も、84円台でスタートした後、中国緊急緩和を受けて87.16円の高値をつけたが、NY時間引けにかけては84円台半ばへ大幅反落し、ほぼ元の水準に逆戻りした。

きょうの高慢な偏見:ビハインド・ザ・株

ドル/は、引き続き中国株価動向と米株価および米利回りの反応に左右されやすい展開が続きそうだ。中国株価が昨晩の緊急緩和でも明確に上昇しない場合、中国当局の対応が後手に回っている印象を強め(ビハインド・ザ・カーブ)、ドル/円は再び118円割れ方向へ下落しそうだ。他方、中国株価が安定化に向かえば、120円台を回復しそうだが、足許の金融市場の混乱を受けて米国の利上げは後ずれの公算が高まっており、ドル/円は明確な上昇基調にすぐには戻りそうにない。

ユーロ/ドルも中国株価次第の様相で、中国株価が続落の場合には再び避難通貨として1.16ドル台へ持ち直しそうだ。但しPraetECB理事発言が予定されており、ECBのユーロ高牽制リスクに注意する必要がある。

豪ドル/米ドルも、中国株価が続落し、昨日一旦は持ち直した銅や原油価格が再び下落に転じると、824日の年初来安値である0.7050ドル方向への下落となりそうだ。また昨日は人民元基準値が13日以来の元安水準となっており、オフショア人民元(CNH)が下落していることも、アジア通貨の連れ安の動きの中で豪ドルにも追加的な売り圧力となりそうだ。



(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。

マネックスレポート一覧

マネックス証券に口座をお持ちでない方はこちら

  • 口座開設・資料請求はこちら(無料)

ご留意いただきたい事項

マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。

当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。

なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。