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◆昨日は、中国株価は続落、欧州株価や原油価格は下落したものの、米株価が大幅反発したことが好感され、米利回りの上昇と共にドルが対円や欧州通貨で上昇、ブラジル、トルコ、南アなどの新興国通貨も反発したのが特徴的だった。
◆ドル/円は、米耐久財受注の予想比上振れもあってNY時間にかけて120円丁度手前まで強含みとなった。その後Dudley・NY連銀総裁が9月利上げの論拠は弱まったとしたことから119円割れへ反落する局面もみられたが、引けにかけて米株と米利回りが上昇したため、再び120円台へ反発している。
◆本日は、Coeure・ECB理事発言、米2QGDP改定値、米新規失業保険申請件数、米中古住宅販売仮契約などが予定されている。中国株価は引き続き注目だが、日米株価の回復が続き、米2QGDP改定値も大幅に上方修正となれば、ドル/円は121円方向への続伸もあるかもしれない。
◆他方、ユーロは避難通貨の必要性がやや低下する中、相次ぐECB高官のハト派発言もあって、1.12ドル方向への続落リスクが高まっている。
◆コモディティ価格の軟調と米ドルの回復は、豪ドル/米ドルの下落継続を示唆している。
昨日までの世界:ダドリー総裁の利上げのだんどりーに変化?
ドル/円は、119円丁度前後で始まった後、本邦株価の反発や米耐久財受注が除く輸送用機器で前月比+0.6%、コア資本財出荷も+0.6%と全体的に市場予想を上振れしたこともあって、NY時間にかけて120円丁度手前まで強含みとなった。その後Dudley・NY連銀総裁が9月利上げの論拠は弱まったとしたことから119円割れへ反落する局面もみられたが、引けにかけて米株と米利回りが上昇したことから、再び120円台へ反発している。
ユーロ/ドルは、1.15ドル台でスタートした後、米10年債利回りの持ち直し傾向の中で下落基調となり、った。そして欧州時間入り後にPraet・ECB理事が、最近の世界経済・商品市場における展開によりインフレ上昇シナリオの下振れリスクを高めたとし、必要ならば量的緩和の拡大・延長を行う用意があると述べたこともユーロ安要因となり、かつ米耐久財受注の予想比上振れもあって、引けにかけて一時1.1292ドルと1.13ドル割れとなった。
ユーロ/円は、アジア時間はドル/円と共に137円丁度近辺から137円台半ばへ小幅上昇したが、その後欧米時間にかけてはユーロ/ドルの下落が大きかったことから、135.45円へ大幅反落した。
豪ドル/米ドルは、原油や銅などコモディティ価格が下落したほか、米耐久財受注の予想比上振れを受けた米ドル高の影響も受け、0.71ドル台前半から一時0.7070ドルと8月24日の安値(0.7050ドル)に接近した。但しNY時間引けにかけては、米株高が下支えとなったためか小反発し、0.71ドル台を回復している。
豪ドル/円は、アジア時間早朝は84円丁度手前へ続落した後、NY時間にかけては85円台へ強含みとなった。その後、Dudley・NY連銀総裁発言後に米ドル/円と豪ドル/米ドルがほぼ同時に下落した局面で再び84円丁度手前へ反落したが、引けにかけては85円台半ばへ反発した。
きょうの高慢な偏見:米ドル反発・資源続落は豪ドル/米ドル売り
ドル/円は、中国株価は引き続き注目だが、日米株価の回復が続き、米2QGDP改定値も市場予想通り大幅に上方修正となれば、ここ数日の米経済指標の予想比上振れ傾向を強め、一時期高まった年内利上げなしシナリオが修正され、米利回り上昇と共にドル/円は121円方向への続伸もあるかもしれない。
ユーロ/ドルも、米株価の反発で避難通貨の必要性がやや低下する中、一昨日のConstancio副総裁、昨日のPraet理事に続き本日はCoeure理事の発言が予定されており、追加緩和の可能性が示されるようだと1.12ドル方向へ続落するリスクが高まっている。
豪ドル/米ドルは、重石となっているコモディティ価格の続落が続くようだと、再び年初来安値(8月24日の0.7050ドル)および0.70ドルを試す展開となりそうだ。中国株価や世界株価が持ち直しても、豪州経済により直接的に影響があるコモディティ価格が反発しないということは、中国の緊急金融緩和でも景気減速懸念が払拭されていない可能性が示唆されている一方、米経済指標の上振れ傾向を受けた米ドル持ち直し傾向も、豪ドル/米ドル売りにマッチする。
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